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週刊サラダぼうる・柏澄子

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わくわく山歩き 旭岳 隔絶された白い世界

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山腹の噴煙。雪に覆われたこの付近も夏になると遊歩道を散策できる=筆者撮影
山腹の噴煙。雪に覆われたこの付近も夏になると遊歩道を散策できる=筆者撮影

 カムイミンタラ。アイヌ語で大雪山を意味する。旭岳を含む大雪の山々のことだ。意訳すると「神の庭」であるが、これを「神々の遊ぶ庭」と表現したのは、故春菜秀則さんだった。なんてロマンチストなのだろう。

 最初の出会いというのはとても大切だ。私の場合、旭岳山麓(さんろく)で宿を営む春菜夫妻だった。20年近く前の冬のこと。友人4人とスキー板を抱えて宿に向かった。旭川からバスに乗り、着いたその先は旭岳がどんと構えた、日本離れした景色だった。随分と遠くまで来たものだと思った。雪一色の、外界とは隔絶された一切の雑音のない世界だ。以来、冬になると通った。通い慣れれば近い存在になるかと思いきや、私にとっては依然として遠いところだ。それは、厳冬の旭岳の絶対的な存在感、静けさへの憧れが理由かもしれない。

 春菜さんが宿近くのクロスカントリースキーのコースを整備していると知ったのは2度目の冬。その後もだんだんと夫妻のことを知るようになった。どうやってここに移住してきたか、温泉を掘り当てた時の話、山菜採りの話――。北の厳しい土地に暮らす生活者としてのたくましさを垣間見た。

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