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AV女優・作家 紗倉まなさんインタビュー

(上)「誰かの基準」はもうやめる 「今、女という着ぐるみを脱ぎかけています」

 人気AV(アダルトビデオ)女優の紗倉まなさんが今月下旬、老人の性や母の性をテーマにした小説「春、死なん」(講談社)を出版する。「アダルト業界のレジェンド」と呼ばれる26歳が、老人や母の性をどう扱うのだろうと出版社から送られてきた同書を興味本位で読み、うなった。うまいだけでなく、とても深い。紗倉さんの感性に触れたくて、インタビューを申し込んだ。【國枝すみれ/統合デジタル取材センター】

高齢者の性に親近感

 ――「春、死なん」で書きたかったことは。

 ◆一言で言うと、高齢者の性です。定期的に開催するAVのイベントにいらっしゃる方々の中には、60~80代がけっこう多いんです。話す機会もあります。エロ本を手にとってくださる人も、けっこう年配の方々です。だから、親近感は常にありました。

 (東京五輪開催に向けて)エロ本は規制強化の方向に移行していますが、そういった方々が、アナログが排除されデジタルに特化する時代に、性欲の処理とか寂しさを埋めるすべを、どう補っていくのだろう、という点に興味があって、それをテーマに書いてみようと思ったのです。

 ――親近感という言葉に驚きました。若い女性の多くは、老人の性に対して「信じられない、あり得ない」という対応をしがちですが、紗倉さんはそうじゃないんですね。

 ◆そうですね。やはり私自身が今抱いている寂しさは、たとえ年を重ねても、大きさや形は変われど、共通しているところがあるんだな、っていう妙な仲間意識みたいなのがあって。

 もともと、年齢差を強く意識せずに生きてきたところもあったんです。年代が違うから全然違う人たちだ、とか、年代が違うから自分たちのことを分かってもらえない、みたいには思わずに過ごしてきたので、距離が近いと感じやすかったのかもしれないです。

さみしさを解消するためのセックスもある

 ――紗倉さんが抱く寂しさとは何ですか。

 ◆自分の中でも言語化できないもやもやとした感情であったり、誰もが持っている自分の中の余白を1人になった瞬間に襲うさみしさであったり……。そのさみしさはどこから来るのかは分からないのですけど。孤独だな、とか、誰も自分のことを分かってくれていないな、とか、そういう気持ちを抱くことが多分あると思っていて、そこから生まれるさみしさ。それを解消するすべとして、セックスを利用される方もいる。自分もそういった部分はあるので、そうした方々の気持ちも分かるな、と。

 ――「春、死なん」の主…

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國枝すみれ

1991年入社。英字新聞毎日デイリーニューズ編集部、西部本社福岡総局で警察担当記者、ロサンゼルス支局、メキシコ支局、ニューヨーク特派員を経て、2019年10月から統合デジタル取材センター。05年、長崎への原爆投下後に現地入りした米国人記者が書いたルポを60年ぶりに発見して報道し、ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

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