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勧酒詩選

ワインのラベルに酔いたい 憂鬱すぎる春に

絵の描かれたワインのラベルは結構目立つ=2020年2月24日、伊藤和史撮影

 憂鬱すぎる春である。

 アルコールといえば、飲むほうの専門だったはずが、情けないかな、別の用途が気になる始末だ。ここは戦場か。

 もっともというのか、やはりというのか、世の中、がぜん自粛ムードが高まってきた。ここらで、景気づけに好ましいほうのアルコールの話。

 貴婦人の絵のワインあり春(はる)灯(ともし)

                    岩崎照子

 春の夜のぬくもりある光景が浮かび、何やら芳香も漂ってくる。「二つのドイツ」(牧羊社)という句集にあるので、ドイツワインか。甘口の白? 「自注」によれば、国内のクラシックホテルで、とあるけれど……。

 ラベルの絵でワインを選ぶ人は多くないだろうが、そういう決め方があっていいと思った。

 その思惑のもと、何軒かのお店でワインのコーナーをじっくり眺めてみたのだが、絵が中心であったり、絵柄が目立ったりするラベルは、思っていたよりも少ない。動物や鳥の商標のようなものがついたラベルはいろいろ目につくのだが、ストーリー性を感じさせてくれる絵が描かれたラベルはあまり見当たらない。

 そんなわけで、どうにも目についた(かつ、大して高くない)1本を思わず買ってしまった。イタリアのキャンティという銘柄に属する赤ワイン。出撃を前にした騎士だろうか、絵の主人公とおぼしき男性が注がれたワインを飲まんとしているところ。その後ろには、まさに貴婦人?がブドウをささげ持っているではないか……。

 ともあれ、ワインにはラベルが貼ってある。これは装飾とか宣伝とかにとどまるものではなく、必要だから貼られているのである。

 「ラベルは、我々がワインについて情報を得るための唯一の手がかりであり、販売者と消費者を結びつける手段である。ラベルの視覚的なイメージ一つで、そのワインを購入したり、購入を思いとどまったりすることさえある」(文庫クセジュ「100語でわかるワイン」ジェラール・マルジョン著、守谷てるみ訳)

 この本によると、フランスではラベルに記載する内容が法律で厳しく規制されているそうだ。記載が義務付けられている情報、記載するかどうか生産者が任意で選べる情報、自由な情報の3種がある。

 このうち、記載義務がある事項とは、製品の名称、アルコール度数、内容量のリットル表記、瓶詰め者の氏名または商号(瓶詰めをした正確な場所を添えて)、アレルギーに関する表示(亜硫酸塩など)、妊婦向けの…

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伊藤和史

1983年入社。岐阜支局、中部報道部、東京地方部、東京学芸部、オピニオングループなどを経て、2019年5月から東京学芸部。旧石器発掘捏造(ねつぞう)事件(2000年)以降、歴史や文化財を中心に取材

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