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毎日新聞

日本陸上競技連盟が東京五輪代表の条件とした設定記録は日本記録より1秒速い2時間5分49秒。設楽悠太は2時間4分台を狙うと意気込む=東京都内で2020年1月28日午後2時37分、小林悠太撮影

Passion

設楽悠太 2時間4分台を出せなければ代表辞退? 視線の先に見据える「世界」 3月1日号砲・東京マラソン

 東京オリンピック男子マラソン代表選考会を兼ねた東京マラソンが3月1日、東京都庁から東京駅前に至るコースで行われる。厚底シューズ騒動や新型肺炎の影響による大会縮小などレース前から話題を呼ぶレースで、「3強」と評される選手たちは、それぞれの決意を胸に大一番に挑む。前日本記録保持者の設楽悠太(28)=Honda=は、日本記録を出しても代表を辞退する可能性があると明言。その言葉に込められた真意は……。【小林悠太】

設楽悠太(28)=Honda

2年前の東京マラソンで16年ぶりに日本記録を更新し、2位でフィニッシュした設楽悠太=東京都千代田区で2018年2月25日、渡部直樹撮影

 予想外の発言で、詰めかけた報道陣を驚かせた。1月23日、宮崎市内での公開練習後。「2時間4分台で走らないと東京五輪で走る資格はないと思っている。2時間5分台で日本記録を出しても代表を辞退すると思う」と宣言した。

 五輪代表枠は3人。昨年9月の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の1、2位が代表に決まった。残る1枠は、東京マラソンなど国内3大会で日本陸上競技連盟による設定記録(2時間5分49秒)をクリアした上で最速の選手が選ばれる。

「5分台で選ばれても納得しない」

 マラソンの五輪代表辞退となれば前代未聞の事態だが、「2時間4分台を出せれば、世界と少しは勝負できるのかなというのがある。5分台で選ばれても自分の中で納得しない。夏の暑さに強い選手は(自分以外に)たくさんいる」と説明した。五輪代表に選ばれることが目的でなく、世界と勝負できる選手が代表になるべきだと考えている。同学年で互いに力を認め合う日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)は「設楽選手は自分自身を鼓舞するため、そのくらいの気持ちで走ると言いたいだけだと思う」と、大胆発言の裏にある気持ちを察した。

「日本中が興奮する走りを」

 大迫とともに、長年低迷していた日本の男子マラソン界の流れを変えてきた自負がある。2018年2月の東京マラソンで、当時の日本記録(2時間6分16秒)を16年ぶりに更新する2時間6分11秒を出した。MGCでは各選手がスローペースでけん制し合う展開が予想された中、スタート直後から独走態勢を築いた。後半に失速して14位に終わったが、日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーはレース後、真っ先に「設楽選手の勇気に敬意を表したい」とたたえた。

 視線の先に見据えるのは「世界」だけだ。東京マラソンには自己記録が2時間2~4分台の選手が8人出場予定で、「攻めの走りが自分のスタイル。ファンのみなさんは、(日本選手が)海外勢と競っているところを見たい」と果敢に勝負を挑む気概がある。

 元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)を含め、今年は既にロードレース4大会に出場。実戦を重ねながら仕上げていく自己流の調整を貫いている。「予定通り。東京マラソンで日本中が興奮するような走りをしたい」と口ぶりは滑らかだ。2時間4分台で東京マラソンを制することができれば、8月9日の東京五輪本番での上位争いも視野に入ってくる。

設楽悠太(したら・ゆうた)

 埼玉県出身。東洋大時代は双子の兄啓太(日立物流)とともに2度の箱根駅伝総合優勝に貢献した。実業団ではHondaのエースとして、全日本実業団対抗駅伝で最長4区の区間賞3回。15年の世界選手権と16年のリオデジャネイロ五輪は1万メートルで出場した。17年からマラソンに転向し、18年2月の東京マラソンで16年ぶりに日本記録を塗り替える2時間6分11秒をマークした。

東京五輪男子マラソンの代表選考状況

 2019年9月の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で、1位の中村匠吾(富士通)、2位の服部勇馬(トヨタ自動車)が決定。残り1枠は「ファイナルチャレンジ」に指定された東京マラソンなど3大会で、日本陸上競技連盟による設定記録(2時間5分49秒)をクリアした上で、最速の選手が選ばれる。

 設定記録は、MGCの出場資格を懸けた17年8月から19年4月までのレースで日本選手最速となった大迫傑(ナイキ)の日本記録(18年10月、シカゴ)より1秒速いタイム。クリアした選手が出なければ、MGC3位の大迫が代表となる。大迫、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)らMGCの出場権を得た34人のうち、18人が東京マラソンにエントリーした。

小林悠太

毎日新聞東京本社運動部。1983年、埼玉県生まれ。2006年入社。甲府支局、西部運動課を経て、16年から東京本社運動部。リオデジャネイロ五輪を現地取材した。バドミントン、陸上、バレーボールなどを担当。学生時代、184センチの身長を生かそうとバレーに熱中。幼稚園児の長男、次男とバレーのパスをするのが目下の夢。