毎日新聞
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新型肺炎が世界経済を脅かし、先の見えない不安が広がっている。
日米欧など主要20カ国・地域(G20)の財務相と中央銀行総裁らの会議は、新型肺炎のリスクを懸念する共同声明を採択した。景気を下支えするため、各国が財政政策などを行う用意があることも示唆した。
ただ、焦点だった具体的な連携の議論には踏み込まず、世界経済の安定化に懸念を残した。
感染はイタリアなどアジア以外でも急拡大している。発生源である中国の景気悪化だけでも世界を揺さぶる。まして欧州などで消費や企業活動が制限される事態に陥れば、世界への打撃は一段と大きくなる。
不安の表れがG20後の世界的な株価急落だ。きのうの日経平均株価は一時1000円超も下落した。楽観論が多かった米国でも1000ドル安と史上3番目の下げ幅を記録した。
世界の連鎖的な株安は、各国の景気を悪化させて一段の株安を引き起こす悪循環を招きかねない。グローバル経済の不安を解消するには、国際的な協調が欠かせない。
とりわけ大国である米中の責任は重い。
G20で議論が深まらなかった要因の一つは、中国の財務相と中銀総裁が欠席したためだ。新型肺炎の国内対応に専念するとの理由だ。
G20は、中国が感染状況や対策を説明し、各国と認識を共有する貴重な場だった。中国の政策は透明性を欠くと言われるだけに、国際社会が正確な情報を得る機会にもなったはずである。極めて残念だ。
さらに貿易戦争を繰り広げてきた米中の対立が影を落としている。
特に心配なのは「米国第一」を振りかざすトランプ政権の姿勢だ。対中政策も担当するロス商務長官はG20に先立って「新型肺炎は米国企業が生産と雇用を中国から取り戻すきっかけになる」と述べた。
米国は本来、国際的な危機管理をリードする立場だ。自国利益を露骨に優先するような発言は論外だ。トランプ政権が発足してからG20は空洞化する一方だった。今回も議論を主導した形跡はない。
米中は自らの立場を自覚し、世界経済の安定に向けた責任を果たすべきだ。日本も米中に協調を働きかけていく必要がある。
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