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おはなしめぐり

子どもの貧困伝える「八月のひかり」 中島信子さん(72) 空腹の苦しみ、戦争中と同じ

中島信子さん=山寺香撮影

 母子家庭で、働く母親の代わりに家事をこなし、弟の面倒をみる小学5年生の少女の夏休みを描いた「八月のひかり」(汐文社)は、出版から約半年が過ぎた今も反響が広がっている。子どもの貧困を正面から描いた作品に、著者の中島信子さん(72)が込めた思いとは。【聞き手・山寺香】

 児童文学の長編を書いたのは約20年ぶりです。ある編集者から「子どもの貧困をテーマに書いてみないか」と言われたのがきっかけです。以前は離婚や虐待などをテーマに子どもの心の痛みを書いていましたが、バブル期以降は出版界で重いテーマの作品が好まれなくなりました。でも、「7人に1人の子どもが相対的貧困」とされる時代です。書かなかった間も、貧困や母子家庭に関する記事や資料を読み、気にかけてきました。

 自宅近くのフードバンクに取材に行きました。理事長が語った「今の時代は『見えない貧困』ではなく『見せない貧困』だ」という言葉が痛烈に心に響きました。貧困状態にあることを見せてしまい、いじめられたり、より苦しくなったりすることを恐れ助けを求められない子どもたちのことを思いました。すると、私の中で登場人物が自然と立ち上がってきたのです。まるで「書いて」と言っているような力強さでした。

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