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男の気持ち

若き日の残照 茨城県かすみがうら市・吉田智美(高校非常勤講師・61歳)

 思いがけず、本棚の奥から1冊の雑誌が出てきた。「文学界」の1977(昭和52)年5月号。私が生まれて初めて買い求めた文芸誌だ。当時の私は、困難な道と思いつつ、著名な小説家を多数輩出している東京の大学を目指して浪人生活をスタートさせていた。そんな自分を鼓舞するため、「文学界」を予備校のテキストとともに本棚に並べた。巻頭に掲載されていたのは、寺久保友哉氏の「こころの匂い」。第77回芥川賞の候補になった作品だ。しかし、私がその作品を読むことはなかった。

 先日、「こころの匂い」を初めて読んだ。精神科医は患者の心の病にどこまで踏み込めるかという重いテーマを扱いながら、心理サスペンスを思わせる巧みなストーリーに引き込まれて一気に読み終えた。この作品に対し、目次には「期待の新人の野心作」というキャッチコピーが添えられている。惜しくも芥川賞は逃したが、確かに紛れもない力作に思われた。

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