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声をつないで

「いかに異常か気づいてほしい」中満泉・国連事務次長が海外から見た日本の現状

インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影

 国連で日本人としてトップの事務次長(軍縮担当上級代表)を務める中満泉さん(56)。1989年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に入って以降、人道支援分野や安全保障分野などでキャリアを積み重ねてきた。スウェーデン人で外交官の夫とともに2人の娘を育てる母親でもある。そんな中満さんに海外から見た日本のジェンダー問題について考えを聞いた。【隅俊之/ニューヨーク支局】

 ――中満さんは、誰もが性別に関わらず平等に機会を与えられるジェンダー平等は、社会全体のメリットになるとおっしゃっています。

 ◆この考え方は世界の常識です。例えば、紛争など国連が関わる分野では、女性がテーブルについて交渉した和平合意は、男性だけで交渉した和平合意に比べ、15年間持続する可能性が35%高まるという研究結果があります。企業の人に身近なデータもあります。(コンサルティング大手の)マッキンゼーが2017年に出した報告書では、経営陣に女性がいる会社は、そうでない会社よりも営業利益率が高いという結果が出ています。消費者の半数は女性ですから、そのニーズをよく分かっている人が入ることで業績が上がるのは当然です。ジェンダー平等がいろんな意味でプラスだというのは議論の余地がなく、データで示されているのです。

 では、なぜ日本ではジェンダー平等が進まないのか。(国連トップの)グテレス事務総長は、ジェンダーの問題はパワーの問題、権力の問題だと言っています。日本ではこれまでほぼ100%、いろんな地位を男性が独占してきました。それを女性とシェアするとなると、当然、男性側から抵抗が出てくる。つまり、既得権益の問題なのです。

 日本の医学部入試では、男子受験生がげたを履かせてもらっていたことが明らかになりました。それは、能力がある女子受験生の排除を意味します。しかし、よく考えてみてください。その分野でトップの人から採用していかなければ、日本の国力や企業の業績は低いままです。これでは日本にとっても組織にとっても利益になりません。

 ――国連ではどういう取り組みがなされているのでしょうか。

 ◆国連の幹部レベルでは達成していますが、28年までに全職員の男女比を同じにするという数値目標があります。全部局が計画を立てていて、私がトップを務める軍縮部でも早ければ23年までに達成する計画ですが、遅れが目立つ場合は年2回の幹部会議でみんなの前で公表されます。幹部は事務総長との間で、さまざまな業務目標の達成をいわば契約のような形で約束するのですが、達成できなければ減点されます。まったく進捗(しんちょく)がなければ、その幹部の雇用契約の更新にも影響してきます。

 努力目標を定めるだけではダメです。罰則も含めた数値目標を定め、きちんと監視し、説明責任を求めるやり方でなければ変わっていきません。

 ――そもそも女性の希望者が少ないということはありませんか。

 ◆女性の人材が少ないという話は日本にもありますが、それはうそです。ジェンダーの問題は年齢や世代の問題とも密接に関わっています。私が担当する軍縮問題…

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残り2950文字(全文4229文字)

隅俊之

2000年入社。広島支局、神戸支局、大阪社会部、上海支局を経て、19年4月からニューヨーク支局。

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