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余録

神社からくり出したみこしや獅子舞が町をめぐる…

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 神社からくり出したみこしや獅子舞が町をめぐる。家々の軒にはしめ縄が張られ、ちょうちんも下がる。人々は豆をまき、門松を立てる家もあった。場所によっては住民たちが山で鉄砲を撃って邪気を払った……▲これは正月か、節分か、あるいは何かの祭りか。実はこれ、幕末のコレラ流行時に各地で行われた悪疫払いの「コレラ祭り」の様子である。人々がかねや太鼓を鳴らし練り歩く様子を記した本もある(立川昭二(たつかわ・しょうじ)著「江戸 病草紙」)▲感染症に抗するすべを知らなかった昔、人々が疫(やく)病(びょう)神(がみ)を追い払うのにあらゆる祭事の霊力を頼んだ気持ちはよく分かる。だが悪疫退治の祭りに大勢寄り集まれば、かえって感染を広げる結果になったろう。何ともせつない歴史である▲新型肺炎の感染拡大防止へむけ、政府は今後2週間をめどに多数の人が集まる全国的なスポーツ、文化イベントの中止や延期、縮小を求める。これからの1~2週間が拡大抑止の瀬戸際になるとの専門家の見解にもとづく要請という▲イベントの一律自粛は求めないとしてきた政府にすれば一歩踏み込んだ対応で、スポーツや興行への経済的な影響も小さくない。ここは責任者たる首相が国民に直接この要請の必要な理由を説明して、協力を求めるのが筋ではないか▲昔のコレラ祭りで正月をまねたのは、災厄(さいやく)の年を終わらせて新年にするまじないらしい。今年をなかったことにはできぬ2020年、リスクと責任を共に引き受けて打つ感染拡大への先手が必要である。

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