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東京へ ともに歩む

毎日新聞

世界選手権女子63キロ級決勝で、フランスのアグベニェヌを攻める田代未来(奥)=東京・日本武道館で2019年8月28日、徳野仁子撮影

Field of View

4年前に通った「別の出口」 屈辱で目覚めた柔道家、田代未来

 東京オリンピックの柔道女子63キロ級代表に田代未来(コマツ)が前回のリオデジャネイロ五輪に続いて選ばれた。女子で唯一となる2大会連続での五輪出場を決めた25歳にとって、「柔道人生で一番後悔した」という忘れられない4年前の光景がある。【浅妻博之】

     日本柔道陣はリオデジャネイロ五輪で史上最多となる12個のメダルを獲得し、女子も7階級のうち5階級でメダルを手にした。しかし田代は3位決定戦で敗れてメダルを逃した。「周りがメダルをとっている中ですごく孤独を感じ、恥ずかしい思いすらした」。日本に戻る足取りは重かった。

    リオデジャネイロ五輪女子63キロ級3位決定戦でジェルビに敗れ、涙を流す田代未来=リオデジャネイロのカリオカアリーナで2016年8月9日、和田大典撮影

     成田空港でメダリストとは別の出口を用意され、テレビをつければメダルを首から下げた選手が祝福されている姿を目にした。「自分は本当に五輪に出ていたんだろうか。別人と感じてしまい、悔しさがこみあげた」と明かす。

    再び始まった4年間

     だが、これで「目が覚めた」という。これまでは「負けず嫌い」の性格の一方で「とにかくネガティブ(否定的)」という繊細な一面もあり、大会が大きくなるほど自信のなさから、力を発揮できずに泣いてきた。「自信がなければ(畳の上で)気持ちも出せない」と気づき、「自分はできるんだから、無理してでもやってみよう」と自らに言い聞かせながら一歩ずつ、また4年間、経験を積み重ねてきた。

     日本の「お家芸」である柔道は常に金メダルが求められ、おのずと重圧がのしかかる。2月27日に講道館で行われた五輪代表決定の記者会見では、ほとんどの選手が「金」を宣言した。田代もその一人だ。金メダルへのイメージを問われると「私にはできるという強い気持ちがある」ときっぱり。不安という呪縛から解かれて自信に満ちた表情が何より頼もしく感じた。

    浅妻博之

    毎日新聞東京本社運動部。1982年、新潟市生まれ。スポーツ紙で校閲業務をして、2007年入社。山形支局、東京運動部、大阪運動部を経て、18年10月から東京運動部でテニス、バスケット、カヌーなどを担当。リオデジャネイロ五輪も現地取材して、テニス取材も全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会を制覇した。高麗人参エキスを毎朝飲んで、健康維持を目指す。