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毎日新聞

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ユーチューバー聖火リレーを語る 「フィッシャーズ」リーダー、シルクロードさん

 東京オリンピックの聖火リレーのスポンサーを務めるコカ・コーラは2019年6月、機運醸成に取り組むアンバサダーに人気ユーチューバー6組を抜てきしました。ユーチューブという新たな切り口で、より多くの人にオリンピックや聖火リレーを伝える狙いです。そのうちの一人で、昨年の年間視聴回数が世界9位の19億回だった人気グループ「フィッシャーズ」のリーダー、シルクロードさん(25)に取り組みへの思いを聞きました。【小林悠太】

 --コカ・コーラからアンバサダー就任を依頼された時はどのように感じましたか。

インタビューに答えるユーチューバーのフィッシャーズ・シルクロードさん=東京都内で2020年2月26日、大西岳彦撮影

 ◆最初は実感がなかったです。バスケットボールや格闘技などいろいろな競技をやってきてスポーツが大好きな僕にとって、オリンピックはすごく高い、手の届きにくいフィールドにあるイメージでした。どうやったらオリンピックに関われるかと考えていたら、急に依頼が来た感じです。ユーチューバーは最近、出てきた職業です。新しい職業が伝統あるオリンピックに受け入れられたということは、これから新しいことをしようとしている多くの人への希望につながると思います。

 --オリンピック盛り上げのため、どのようなことをしていきますか。

 ◆僕らを起用したのは、オリンピックをより身近に感じられるようにという意図があると思っています。重要なことは「共有」や「共感」。以前から「歩み寄っていく」というイメージで動画を作ってきました。いつもと同じ意識で動画作りをやっていこうと思っています。

 --動画作りで意識していることは何ですか。

 ◆もともとスポーツをメインに動画を作っていますが、オリンピックのある今年はさらにスポーツの動画を増やしたいです。スポーツをやる楽しみと見る楽しみをより身近に感じられるように取り組んでいます。

 例えば19年12月、国立競技場で陸上短距離の桐生祥秀選手とフィッシャーズが200メートルで対決しました。桐生選手は1人で走り、フィッシャーズは4人で50メートルずつリレーする形式です。桐生選手の速さを分かりやすく伝えつつ、スポーツが苦手な人も一緒に盛り上がれる「チーム感」を表現するためにリレーを選びました。競う意識はなく、第1走者はあえて足が速くないメンバーを起用しました。6秒のハンディキャップで遅れてスタートした桐生選手が一気に追いついて、盛り上げることができました。

ユーチューバーのフィッシャーズ・シルクロードさんが行う動画の編集作業=東京都内で2020年2月26日、大西岳彦撮影

 本来、スポーツは得意、苦手に関係なく、一緒に楽しめるもののはずです。スポーツに参加するハードルを下げ、フランクにしたいと考えています。19年のラグビー・ワールドカップは、ルールを知らない人も楽しんでいました。楽しい雰囲気にはみんなが寄っていきます。そのような雰囲気を作ることを大事にしています。

 --その他に考えていることはありますか。

 ◆昨年、馬術(乗馬)も体験しました。普段、接する機会の少ないスポーツに僕らが歩み寄ることで、身近に感じられるきっかけになればと考えています。いろいろなスポーツにどんどん取り組んでいきたいです。

 また、車いすバスケットなどのパラリンピック競技も行っています。魅力や難しさなどを伝えられるように、まず自分でやってみます。車いすから転がっているボールを拾い上げることが難しいことなど理解した上で、撮影を始めるようにしています。

「ユーチューバーそのものが多様性の集まり」

 --コカ・コーラから動画作りは一任されていると聞きました。

スポーツをテーマにした動画作りについての思いを語るユーチューバーのフィッシャーズ・シルクロードさん=東京都内で2020年2月26日、大西岳彦撮影

 ◆こちらから「この競技を取り上げたいです」と言うと、「分かった。それをやってください」と言っていただき、ネタの詳細はこちらの考えで広げていきます。ガチガチに内容を決められていると表現が難しくなってしまうため、助かっています。

 --聖火リレーのランナーも務めることが決まっています。

 ◆僕には縁の無いものだと思っていました。当日の様子について動画も作りたいですが、まずは現場で見ている人に伝えたいです。身近な存在のユーチューバーだからこそ、「これ(トーチ)めちゃくちゃ重たいよ」などとしゃべりながら走り、その場の人たちと共有できればと思います。多くのランナーは、笑顔で手を振りながら走ると思いますが、もっとラフにやります。それがユーチューバーが聖火ランナーを務める意味だと考えています。

 --オリンピックで注目している競技はありますか。

 ◆競泳が好きで注目しています。競泳の鈴木聡美選手(12年ロンドン五輪メダリスト)とは交流があります。今までテレビでしか見たことがないので、ぜひ会場で見てみたいです。

 --ユーチューバーがオリンピックに関わることの意義をどう感じていますか。

 ◆ユーチューバーそのものが、大会ビジョンの一つである多様性の集まりのようなものです。常にいろいろと新しいものを求めています。また、フィッシャーズはメンバーが7人いるからこそ、多様性を示すことができます。撮影を始める前に、各メンバーの立ち位置を決め、そのスポーツをリスペクトするメンバーもいれば、フランクに振る舞うメンバーもいます。メンバーの中には運動が得意な者も苦手な者もいます。どのような立場の人も楽しんでスポーツを見てもらえるような動画をこれからも作っていきます。

シルクロード

 東京都出身。10年2月に中学の同級生で「フィッシャーズ」を結成。卒業記念に投稿した動画が初めてのユーチューブへの投稿だった。グループ名は川遊びが好きだったため「魚」から命名。歌、ダンス、イラストなど得意分野のさまざまな7人のグループでリーダーを務める。グループの運営するユーチューブのチャンネル登録者数は600万人超で、学生が夏休みの8月の月間再生回数は3年連続で3億回以上を記録する。

小林悠太

毎日新聞東京本社運動部。1983年、埼玉県生まれ。2006年入社。甲府支局、西部運動課を経て、16年から東京本社運動部。リオデジャネイロ五輪を現地取材した。バドミントン、陸上、バレーボールなどを担当。学生時代、184センチの身長を生かそうとバレーに熱中。幼稚園児の長男、次男とバレーのパスをするのが目下の夢。