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鴻巣友季子・評 『如何様』=高山羽根子・著

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 ◆『如何様(イカサマ)』(朝日新聞出版・1430円)

真贋・自他の境界線かき乱す

 『如何様』の表題作を読みながら時おり思い浮かべていたのは、昨年末の「紅白歌合戦」に登場した“AIで復元した美空ひばり”だった。これには否定的な声もあがった。しかし、その人工の声に歌姫の神髄を感じて涙するファンに、「模造品に感動するなんて」などと言う気には、私はなれない。

 「如何様」は、真贋(しんがん)とはなにか、人や物の同一性とはなにか、自己と他者の境界はどこにあるか、人はなにをもってその個人になるのかといった存在論的、イデア論的な問いを真正面から投げかける野心作である。

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