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風知草

セントルイスの経験=山田孝男

 やり過ぎかどうか、断定的なことは言えない。

 小中高校と特別支援学校に一斉休校を呼びかけた首相の決断である。

 相手は未知のウイルスであり、事態は依然、流動的で先が読めない。

 側聞の限り、首相の頭の片隅に、近代史上最悪のパンデミック(世界規模の流行病)だった「スペインかぜ」があるらしい。

 とりわけ、いち早く学校や集会施設を閉鎖して死亡率を下げた――とされる米セントルイス市の経験を意識したと思われる。

     ◇

 スペインかぜは、第一次大戦末期の1918(大正7)年、米国に出現し、数カ月のうちに日本を含む全世界へ広がった。

 スペインから出たと誤報され、その名がついた。地球全域の統計はないが、世界で5億人が感染し、5000万人以上が死んだ――と俗に言われている。

 このうち約50万人が死んだ米国(ちなみに日本の死者は39万人)では、流行が始まった直後から集会、外出を制限した都市と、発症率が10%を超えてから制限した都市とで、死亡率に顕著な差が表れた。

 12年後に米政府が公表した統計によれば、すぐに学校、教会や集会施設を閉鎖した中西部のセントルイスは、対応が遅れた東部のフィラデルフィアに比べ、感染者数拡大のピークが2カ月遅く、しかも低めに表れた。死亡率はフィラデルフィアの4分の1だった(2分の1説もある)。

 このイメージは、2009年の新型インフルエンザ流行を踏まえ、厚生労働省が12年にまとめた資料「新型インフルエンザ対策の再構築について」の中で強調されている。

     ◇

 首相自ら一斉休校を呼びかける決断は…

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