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敦賀原発のデータ操作 安全審査への重大な背信

 原子力の安全をないがしろにする不誠実な行為だ。

 日本原子力発電が、再稼働を目指す敦賀原発2号機の審査資料のデータを無断で操作していた。審査を担当する原子力規制委員会は審査を中断し、全ての元データを提出するよう原電に求めた。当然の対応だ。

 データは、2号機直下にある断層が、地震を引き起こす活断層かどうかの判断材料となる。原電は、活動性を示す軟らかい地層があるとの記述を削除し、軟弱さを示す「未固結」という表記を、正反対の「固結」に書き換えていた。

 原発の規制基準は、活断層の真上に原子炉などを造ることを認めていない。活断層なら廃炉となる。今回の行為は、不利な材料を意図的に隠したと疑われても仕方がない。

 こうした操作は少なくとも十数カ所ある。しかも原電は、審査の根幹にかかわるその事実を規制委に告げていなかった。

 原電は「再評価した結果に基づいてデータを修正した」と釈明し、説明が足りなかったと陳謝した。

 しかし規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「科学や技術について最も初歩的な部分が欠落している」と強く批判した。客観性と透明性を重んじる科学の世界では、こうした行為は「不正」と認定されかねないケースだ。

 2号機をめぐっては、2013年に有識者調査団が「直下に活断層がある」との結論を出した。原電の抗議で実施された再調査でも同じ結論となった。これに対抗して原電は15年、再稼働を申請した。

 再稼働にこだわる背景には、苦しい台所事情がある。原電は原発専業の電力卸売会社で、所有していた4基のうち2基は廃炉作業中だ。

 残る2基も再稼働は見通せない。茨城県の東海第2原発は安全審査には合格したが、周辺自治体の同意取得が難航している。

 発電ができない現在、経営は電力5社からの支援頼みで、存亡の瀬戸際にある。そんな中で発覚したデータ操作だった。

 東京電力福島第1原発の事故を教訓に、日本の原発は「安全最優先」を掲げ、審査の実績を積み上げてきた。それを軽んじるような原電の態度からは、原発を動かす事業者としての資質がうかがえない。

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