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社説

米・タリバンの和平合意 アフガン安定はなお遠い

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 米国とアフガニスタンの旧支配勢力タリバンが和平合意に署名した。米同時多発テロから18年余に及ぶ戦争の終結につながるだろうか。

 合意は、米軍など駐留外国部隊が14カ月以内に段階的に完全撤収し、タリバンは国内の支配地域でテロ組織の活動を認めないことが柱だ。

 タリバンは2001年の同時多発テロを実行した国際テロ組織アルカイダをかくまい、いったんは米軍に掃討された。だが、混乱に乗じて再び広範な地域を支配している。

 テロ活動を封印できれば治安が安定し、米軍撤退につながる。そうした見通しが米国にはあるのだろう。だが、楽観するのは早計だ。

 合意の当事者はあくまで米国とタリバンだ。治安が安定するかどうかは近く始まるタリバンとアフガン政府の交渉にかかっている。

 まず、完全な停戦ができるかだ。米軍が支援するアフガン治安部隊への攻撃は収まっていない。

 タリバンにとって米軍撤退は大きな成果だ。多数の捕虜も解放される。戦力が増強される中で合意が守られるのかという疑いは残る。

 民主的な政治体制の構築も難題だ。タリバンは女性の権利制限や宗教的な抑圧政策を過去に取った。

 政府内はガニ大統領とアブドラ行政長官の対立が深刻で分裂状態だ。交渉が難航するのは必至だろう。

 アフガンの混乱がこれほど長引くのはなぜか。政府の腐敗や経済の低迷が国民の不満を招き、テロの再燃につながった面は否定できない。

 そのタリバンを狙った大規模な軍事作戦を展開しながら失敗した米国の責任も重い。地元市民らに大きな被害を与え、反米感情を高めた。

 トランプ米大統領には米軍撤退を11月の大統領選に向けたアピール材料にしようとする思惑があるようだ。「米国史上、最長の戦争」を終わらせると日ごろから訴えている。

 だが、米軍はアフガンの安定を見届けて撤退するわけではない。テロの脅威を残したまま安定化を丸投げしたも同然だ。混迷の度が深まれば米国への危険も高まるだろう。

 平和の実現には国内の努力が不可欠だが、国際社会による経済や人道面の支援がなければ復興はおぼつかない。その責任から米国が逃れることはできない。

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