<カントリージェントルマン>
私の書斎にある一番の宝物は古いイヌイットのランプ。過去60年間でイヌイット語のつづりは大きく変わったが、このランプは「クードゥルー(KUDLU)」という。
黒いソープストーン(せっけん石)を彫ったもので、オレンジの房を大きくしたような形。直線的な縁の部分に溝が切ってあり、ホッキョクワタスゲなど夏のツンドラに生える植物を均等に並べ灯心とする。その下はアザラシやセイウチの皮、クジラの脂皮で作った浅いボウルになっていて、オイルを入れると柔らかな黄色い光がともる。
今では特別な儀式用だが、北極では何千年もの間、暮らしに欠かせないものだった。長い冬が始まると、海洋哺乳類のオイルなしには明かりや暖を取ることもできなかったのだ。
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