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第93回センバツ高校野球

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2020年センバツを前に 新・文武両道 高専、将来見据え奮闘

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上級生が作製した住宅模型を見る近大高専野球部の選手たち=三重県名張市で2020年2月12日、平川義之撮影 拡大
上級生が作製した住宅模型を見る近大高専野球部の選手たち=三重県名張市で2020年2月12日、平川義之撮影

 2月12日の放課後、近大高専(三重県名張市)のグラウンドではノックを受ける2年生の声が響く。1年生は授業中。5年制で即戦力となる技術者を育てるため、学年別にカリキュラムがびっしり。部員計60人が放課後、一斉に練習を始められるのは週1日しかない。

 授業は1年は7時限(午後3時25分終了)の日が多く、2年は週3日、8時限(午後4時15分終了)ある。投打で引っ張る白石晃大選手(2年)は「勉強についていくのに必死」。赤点は「60点未満」で、再試のチャンスは数回あるがクリアできなければ留年だ。木伏彪選手(2年)は「高校に行った友達に聞くと、赤点は30点や平均点以下とか。60点はきつい」。試験前の平日は午後8時までの練習を短縮し、学業に集中させる。

 重阪俊英監督(37)は2月下旬の期末試験で「赤点ゼロ」を掲げ、一定期間で赤点を解消できなければ3月中の対外試合に出場させないと伝えた。2018年11月から指揮を執り、19年秋の三重県大会を初めて制した。「苦労しながら単位を取ることでメリハリがつき、集中できる時間が増えてきた」と成長を期待する。

 近大高専は今回のセンバツで初めて、21世紀枠の東海地区候補校に選ばれた。最終的に補欠校にとどまり、夏に向け気持ちを切り替えた。「このメンバーならやれるのではないか」。主戦級の箕延寛人選手(2年)は、入学後に「高専初の甲子園」を強く意識するようになった。箕延選手や白石選手ら大多数が中学時代に硬式を経験しているからだ。

 県外出身者が在校生の約半分で、野球部も県外が半数に上る。卒業後の進路の強みも影響している。箕延選手は「自分も親も文武両道を大切にしてきた。将来の就職のことも考えた」。19年3月卒の近大高専の就職率は100%。求人倍率は17・18倍で、高校新卒者の2・78倍(厚生労働省統計)を大きく上回る。例年、約7割が就職し、進路担当者は「入社後のキャリア形成や働き方も大卒者に近く、工業系高校よりチャンスが広がる。スポーツを頑張れる生徒は学業でも歯を食いしばれる」。3年修了時に大学に進学する道もある。

 教室で培う進路選択の幅と、グラウンドで流す汗の好循環が、新しい文武両道の姿となっている。【松浦吉剛、衛藤達生】=随時掲載

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