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「台風でも絶対消えない」 桜の炎はどう実現したのか 聖火トーチに隠された秘密

インタビューに答える聖火リレーのトーチをデザインした吉岡徳仁さん。テーブルには試作段階のトーチの設計図が並ぶ=東京都渋谷区で2020年2月5日、長谷川直亮撮影

 世界中に中継される聖火リレーで、神聖な火が消えることは許されない。歩いて前に進むのも困難な秒速17メートルの風、バケツをひっくり返したような1時間50ミリの雨、そうした状況でも消えない性能が求められた。ランナーが掲げる桜をモチーフにしたトーチは見た目の美しさや軽さだけでなく、強度を高める技術が結集されている。

 「夢の中でも設計図と格闘した」。聖火リレーのトーチのデザインとプロデュースを担当した吉岡徳仁さん(53)は試行錯誤の日々を振り返る。台風並みの風雨でも「絶対に消えない聖火」を実現するため、朝起きると同時に自宅でコーヒー片手に、パソコン画面に映し出されたトーチの立体図とにらめっこした。完成までに描いた設計図は200枚を超える。

 構想を実現するため、数十社の燃焼技術がてんびんに掛けられた。選ばれたのは、キャンプ用バーナーを製造する「新富士バーナー」(愛知県豊川市)。気象条件の厳しい山でも使える炎の開発・技術力が評価された。同社で開発を担当した山本宏専務(57)は「道具としての炎を作ってきたが、聖火は炎が主役。作れる機会は後にも先にもない」。東京オリンピックに向けて構想を温めていた。

 「炎の中でプラチナ(白金)が輝いたらドラマチックになる」。消えない炎の着想は、自社製品であるキャンプ用のランタンにあった。雨をもはじいて燃えるプラチナの「触媒燃焼」は、木炭や線香などと同じように炎は目に見えない。一方、トーチの先端で揺れる赤い炎は美しく立ち上るが、風に弱い。そこで、ガスと空気を混合させて燃焼する約1500度の青い炎で白金ドームを加熱し、触媒燃焼を発生させた。「青と白」の燃焼が赤い炎を保つ仕組みで、消えない炎を可能にした。

 吉岡さんは、炎のデザインにもこだわった。2015年秋、東日本大震災の復興支援で福島県南相馬市の小学校を訪れた時のこと。桜の絵を描いた子どもたちの元気な姿を見て、「桜が開花すると誰もがワクワクする」と思った。「それが炎でつながれたら希望を与えられるのではないか」と、復興五輪を掲げる東京大会で、炎の形を「桜」にしたいと考えた。

 桜の花びらをイメージした五つの筒の中で燃える炎。そのデザインのバランスを考慮すると、中心のプラ…

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