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新型肺炎で米利下げ 国際連携が試される時だ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的株安を受け、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が緊急利下げに踏み切った。

 リーマン・ショック以来11年半ぶりであり、下げ幅も通常の2倍という異例の措置だ。金融危機並みの対応と言える。

 これに先立ち、日米欧の主要7カ国(G7)は「景気下支えのため行動する用意がある」との共同声明を発表していた。先陣を切って市場の混乱収束を図ったのだろう。

 感染拡大の影響で、1~3月期の世界経済の成長率はマイナスに陥るとの予測すらある。株安は企業や消費者の心理を冷やし、景気を一段と悪化させかねない。G7は連携して市場の安定を図る必要がある。

 だが今回の利下げでも米国の株価は一時1000ドル近く急落した。きのうの東京株式市場も不安定な動きとなり、懸念は根強く残っている。

 要因の一つが、異例の大幅利下げが逆に、感染拡大による経済への打撃が想定以上に大きいのではないかとの心配を広げてしまったことだ。

 FRBのパウエル議長は追加利下げも示唆した。ただFRBの政策金利は低く、利下げ余地は限られる。

 また、気がかりなのは、今回の利下げの背後に、「米国第一」を振りかざしてきたトランプ米大統領の思惑がちらつくことだ。

 トランプ氏は米国の輸出に有利に働くドル安をあからさまに志向し、利下げをFRBに再三要求してきた。今回の大幅利下げにも不十分と不満を示し、追加利下げを迫った。FRBは独立した判断と強調するが、日欧が円高やユーロ高に警戒を強めるとG7の足並みは乱れる。

 金融政策を決める定期会合を来週以降に控える日欧中銀の出方も焦点だ。ともにマイナス金利を導入し、FRB以上に利下げ余地に乏しい。

 仮に日銀がマイナス金利を拡大すれば、体力の弱い地方の金融機関の収益をさらに圧迫する。感染拡大による打撃は地方の観光業者などに目立つ。地方の支援に役立つ方策を検討する必要があるだろう。

 政策手段が限られるとはいえ、感染拡大が長引くと景気はもっと冷え込みかねない。市場の不安をいかに払拭(ふっしょく)するか。日米欧が効果的対策を打てるかが問われる。

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