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双葉町の避難指示解除 生活できる環境の整備を

 福島県双葉町できのう、一部区域の避難指示が解除された。東京電力福島第1原発事故で唯一、全域に指示が出たままだった。

 立ち入りが制限される帰還困難区域のうち、14日に全線再開となるJR常磐線の双葉駅周辺が対象となった。近隣の大熊町や富岡町でも順次、駅周辺の指示が解除され、原発被災地間の鉄道輸送が復活する。

 また、町北東部の避難指示解除準備区域も指定が解除された。整備された産業団地には、建設業など17社の進出が決まっている。

 今回の解除区域は町域の5%にとどまるうえ、住民は住めない。帰還困難区域の一部を集中的に除染する復興拠点でも指定解除の目標は2年後で、住民の帰還はそれからとなる。拠点外は帰還困難区域のままだ。

 それでも、町や帰還を望む人にとっては、今回の解除が復興の足がかりとなろう。

 第1原発が立地する双葉町の住民は、これまで2011年4月に埼玉県加須市へ、13年6月には今の福島県いわき市へ役場とともに避難を繰り返してきた。現在、住民登録している人は約5900人を数える。

 その間、避難先で家を建て、生活再建を果たした住民も少なくない。復興庁などが昨秋実施した住民意向調査では「戻りたい」が1割にとどまる一方で、「戻らない」は6割を超えた。

 このため町は、町内で働く人をはじめとする新住民も呼び込もうと、復興拠点で集合住宅の整備を進める。帰還の開始から5年後には約2000人が住むまちを思い描く。

 まずは生活環境の整備を進める必要がある。周辺自治体とも協力し、医療・介護の体制を整えなければならない。商業施設を誘致し、暮らしを便利にすることも欠かせない。

 帰還はできなくとも、町とのつながりを望む住民は多い。それらの住民も含めて交流人口を増やせば、まちの活性化につながる。

 帰還困難区域について、国は「長い時間がかかろうとも全て避難指示解除する」と表明している。だが、見通しは全くたっていない。

 限られた区域であっても、帰還を望む住民がそこに戻り、生活しやすい環境を築けるように支援する。それは国の責務である。

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