ロボット義足で歩く喜びを より安く、より使いやすく…32歳社長の挑戦

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最新技術を投入した義足を前に開発メンバーと言葉を交わすBionicM社長の孫小軍さん(左)=東京都文京区の同社オフィスで2020年1月31日、藤井太郎撮影
最新技術を投入した義足を前に開発メンバーと言葉を交わすBionicM社長の孫小軍さん(左)=東京都文京区の同社オフィスで2020年1月31日、藤井太郎撮影

 電動で歩行を補助する「ロボット義足」の普及を目指し、東大発のベンチャー企業が奮闘している。一人一人に合わせて補助の仕方を変える技術を開発したほか、より多くの人に歩く喜びを取り戻してもらうための低価格化も実現間近だ。海外からも注目を集めるハイテク義足の開発の裏には、エンジニアを兼ねる青年社長の熱い思いがあった。

電池切れを克服

 ベンチャー企業は、東京・本郷に本社を置く「BionicM(バイオニックエム)」。中国籍の孫小軍さん(32)が、東大大学院で博士号取得後の2018年12月に起業した。10人ほどの社員は大企業出身のエンジニアや義肢装具士の国家資格を持つ人など多彩だ。今年1月下旬、同社のオフィス兼研究室を訪ねると、数式をいっぱいに書き込んだホワイトボードの前で社員たちがアイデアを出し合っていた。「義足はバネとダンパーの組み合わせのまま何十年も進化していない。僕らが不便を解消する」。孫さんが熱く語った。

 ロボット義足は、足にかかる力をセンサーが検知して道路の状態を把握し、歩いたり立ち上がったりする動きをモーター制御でサポートする。欧州企業が開発で先行しているが、電池が切れると関節の駆動部が固定化されて歩けなくなる欠点があった。バイオニック社は、特殊な設計によってこの問題を克服。電池が切れてもそのまま通常の義足として使えるようにしたのが大きな特徴だ。

 さらに孫さんたちは、一人一人の歩き方の癖や障害の程度に合わせて、補助の仕方を自動的に変える技術の精度向上も進めている。価格も、コスト削減によって欧州製より7割程度安い200万~300万円程度にすることを目指す。いずれも、より多くの人に快適な義足を使ってもらうのが目的だ。同社がこれまでに開発した技術は、「世界的に優位性がある」として国際的なビジネスコンテストで入賞したり、国の支援事業に選ばれたりするなど、高い評価を得ている。

「両手が解放された」

 孫さんが義足開発の道を志したのは、自身が義足と…

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