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シンクタンクの男女格差を示す指数で、日本は146カ国中116位。深刻なジェンダーギャップを解消するには?

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日本はなぜ男女格差を縮められないのか ジェンダーギャップ、過去最低121位

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不正入試問題を受けて開かれた東京医科大の記者会見=東京都内のホテルで2018年8月7日午後5時28分、長谷川直亮撮影
不正入試問題を受けて開かれた東京医科大の記者会見=東京都内のホテルで2018年8月7日午後5時28分、長谷川直亮撮影

 3月8日は国連が定めた国際女性デー。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが2019年に発表したジェンダー・ギャップ(男女格差)指数で、日本は153カ国中121位と過去最低に沈んだ。政府は20年までにリーダー層の女性割合を3割にする目標を定め、安倍晋三政権も「女性活躍」を成長戦略の柱として掲げてきたが、20年を迎えた今、実態はほど遠い。なぜ、日本社会は男女格差を縮めることができないのか。【中川聡子、塩田彩/統合デジタル取材センター】

「女性が不利なのは常識」

 「ああ、ばれちゃったか」。18年8月、東京医科大による女性や浪人生の入試差別が報道されたころ、医大予備校に通っていた三浦さくらさん(仮名)は講師の言葉に耳を疑った。

 三浦さんは社会人経験を経て医師を目指した。18年春に東京医大、順天堂大、昭和大を含む5校を受けたが、不合格に。諦め切れず、毎日12時間以上の勉強を続ける中、東京医大が女性や浪人生の点数を低く調整していたことが明らかになった。

 だが、予備校講師や受験生たちは「医学部で女性が不利なのは常識」と驚きもしなかった。三浦さんも「そうなのか」と感じたが、翌日、自習室で勉強中に東京医大前で行われた市民の抗議集会をニュースで知った。「怒ってくれる人がいる。やはりこれは差別だ」。声を殺して泣いた。

 のちに三浦さんは東京医大など3校に合格していたことが判明した。今、3校とは別の医学部に通い、3校に損害賠償を求めて訴訟中だ。

 しかし、医学部の「常識」の壁は厚い。東京医大は訴訟で、付属病院の医師確保は卒業生に頼っているとした上で「医師は長時間労働。(付属)病院の運営の観点から(女性の点数調整は)合理性を欠くとはいえない」と反論し、請求棄却を求めている。他2校も同様だ。三浦さんは「大学は差別を正当化している」と憤る。

 「女性医師自身が『女性は出産や育児をするから(女性の入学抑制は)仕方がない』と思い込まされている」と指摘するのは、富山県議で産婦人科医の種部恭子さんだ。17年にすでに入試差別の可能性を指摘するリポートを発表し、女性医師の少なさに危機感を抱いてきた。「差別を差別と認識すらできていない日本の現状を象徴する問題。長時間勤務が評価される働き方を変えなければ、男女格差は広がるばかりです」

女性議員・管理職少なく、賃金格差も

 「活用されていない資源の最たるものが女性の力だ。20年までに指導的地位にいる人の3割を女性にする」。安倍首相は14年1月、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で高らかに演説した。

 だが、15年12月の第4次男女共同参画基本計画で、政府は30%目標を事実上断念し、分野ごとに大幅下方修正した。現在、同フォーラムの男女格差指数で日本は主要7カ国(G7)中、圧倒的最下位。議員・管理職の女性割合が低く、男女賃金格差が大きいことが響いている。

 安倍政権の旗振りで15年に制定された女性活躍推進法は、大企業に女性管理職登用の計画策定を義務づけたが、未達成でも罰則はない。この結果、厚生労働省によると、民間の女性の課長相当職は18年で11・2%、部長相当職は6・5%にとどまる。18年の25~44歳の女性就業率は76・5%と14年から5・7ポイント上昇したが、過半数は非正規雇用。女性のフルタイム労働者の月給は男性の7割程度しかなく、男女格差は経済協力開発機構(OECD)加盟の36カ国中、3番目に大きい。

 女性の職業選択の幅を広げ、昇進を後押しするには、女性に家事、育児の負担が偏っている現状を変える必要があるが、男性の働き方改革も進まない。内閣府によると、6歳未満の子がいる夫婦の1日当たりの家事、育児時間は女性の7時間34分に対し、男性は1時間23分だ。

 政治分野の女性も少ない。国際組織の列国議会同盟は6日、世界全…

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