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プライバシー、DV、性暴力…被災時、女性は守られていますか?

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「熊本市男女共同参画センターはあもにい」が熊本地震の時に作製したチラシ。避難所に張られた=同センター提供
「熊本市男女共同参画センターはあもにい」が熊本地震の時に作製したチラシ。避難所に張られた=同センター提供

 11日で東日本大震災から9年となる。避難所で失われるプライバシーや悪化するDV(ドメスティックバイオレンス)、ますます声を上げにくくなる性暴力……。自然災害が起きた時、女性ゆえに被災時の困難が深まることがある。25年前の阪神大震災から東日本大震災を経て、男女共同参画の視点で防災・減災の仕組みはどう変わり、どんな課題が残されているのか。1月に神戸市内で開かれたシンポジウムの模様を紹介し、考えるヒントとしたい。【反橋希美】

“阪神”声上げられぬ被害者

 妊娠8カ月の19歳女性。実家が被災し、行き場がなく交際相手の男の実家に居候しているが、男は「子どもはいらない」と殴ったり蹴ったりする。男の両親は「頼むから怒らせんようにして」と言うばかり。1人で子どもを産んで育てる自信がない――。

 シンポを主催したNPO法人「女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ」(神戸市)が阪神大震災後の1995年3月、初めて受けた電話相談だ。被災地では、住まいや職を失ってストレスを抱える中、女性への暴力の問題が噴出していた。正井礼子代表理事は「相談の6割がDVだったが、当時はその概念もなかった。『みなさん大変なのに、家庭内のもめ事を相談する私はわがままでしょうか』という訴えが忘れられない」と振り返った。

 震災から1年ほどしたころ、正井さんはあるセミナーで仮設住宅に住むシングルマザーからこんな告白も受けた。スーパーまでの交通の便が悪かったため、女性は近所の年配男性に買い物を頼んでいた。ある時、せめてのお礼にと男性を夕食に招いたら、性行為を迫られた――。他の参加者から「警察に届けなかったの?」と聞かれ、その女性は「そこでしか生きていけない時に、誰に語れというんですか」と涙を流したという。

 阪神大震災の発生時、被災者支援…

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