メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

張競・評 『石坂洋次郎の逆襲』=三浦雅士・著

 (講談社・2970円)

郷土愛の響きあい 情熱的な作家論

 石坂洋次郎は存命中に流行作家と見なされ、いまはすっかり過去の人となった。しかし、著者の見解はまったく違う。石坂は作家としてもその作品も不当に低く評価され、いまだからこそ、その魅力を見直すべきだと言う。なぜなら、石坂は東北日本の深層に潜む母系制の神話を鮮やかに捉えており、時代を超えた独特の個性を描き出しているからだ。

 石坂洋次郎の小説に出てくる女性はほとんど例外なく経済的に独立し、恋愛においても婚姻においても家庭において主導権を握っている。このような人物造形は戦前戦後を問わず一貫しており、父系制の神話と真っ向から相対している。女性支配の世界は無意識ながら、戦前においては軍部と対決するものになり、戦後においては近代工業社会に対する批判になっている。石坂の小説が戦前においても戦後においても大人気を博したのはそのた…

この記事は有料記事です。

残り1098文字(全文1485文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「市にうそつきと思われショック」児童扶養手当、突然の打ち切り 元夫の意外な行動

  2. 現職の吉村美栄子氏が4選 自公推薦の新人破る 山形県知事選

  3. 岐阜県知事選 古田氏が5選 新人3氏を破る

  4. 「地域から協力金集めて慰安旅行」 幽霊消防団員巡り告発続々 地域社会にあつれき

  5. 野田聖子氏、岐阜県連会長辞任を表明 保守分裂の知事選、「父と娘」の代理戦争

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです