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余録

どこに埋めたかなあ…

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 どこに埋めたかなあ。何を入れたのかも忘れてしまったけれど。この時期に思い出す人もいるだろう。卒業記念に同級生と一緒に大切なものを詰めたタイムカプセルだ▲それから35年が過ぎた昨年秋、思い立って掘り起こした男女8人がいる。福島県双葉町立双葉北小学校の卒業生だ。東京電力福島第1原発事故で唯一、全町避難が続く中、町に立ち入りを申請した。「大人になったら一緒に飲もう」と入れたワインの瓶、将来の夢を録音したカセットテープ……▲通うはずだったこの小学校の敷地にタイムカプセルを埋められなかった子供たちもいる。今はいわき市の仮設校舎で学ぶ。避難先で育ち、古里の記憶はない。しかも15歳未満は町への一時立ち入りが禁じられている▲昨年、小型無人機ドローンを使った「バーチャルふるさと遠足」を体験した。町のライブ映像が体育館のスクリーンに映し出される。ここが自分たちの古里なんだ。子供たちは食い入るように見ていたという▲町の一部は今月4日に避難指示が解除された。どれほど住民が戻ってくるのか分からない。だが町を離れた一人一人に、胸にしまった記憶がある。タイムカプセルを開けた卒業生は言った。「古里に残した忘れ物を少し取り戻せた」▲古里という存在は困難を乗り越えて生きていく力を与えてくれる。双葉の卒業生がタイムカプセルを埋めた場所には目印の石があった。そこには、いつか掘り起こす未来の自分を励ますように「希望」の文字が刻まれていた。

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