メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

高桑早生=前橋市の正田醤油スタジアム群馬で、久保玲撮影

パラアスリート交差点

陸上・高桑早生「その先へ」 心のバリアフリーは生きる権利の尊重

 東京都の「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」に、アスリートの立場で参加しています。1月15日には東京都内でパネルディスカッションがありました。「心のバリアフリーを広めるために」などをテーマに有識者の話をうかがい、改めて見識を深めたいと思いました。

 心のバリアフリー――。この言葉の真の意味は生きる権利の尊重なのだと、重みを感じました。例えば、障害のある客はバリアフリーではない店に入れません。思いやりがないと片付けてしまうこともできますが、生活する権利が侵害されていると考えると、重たい問題です。

 「障害者が可哀そうだから助けるべきだ」ということではありません。保障されるべき権利が、そこにあるのです。社会が向き合うべき課題であると同時に、障害者自身も「全て社会が悪い」と諦めるのではなく、努力や工夫、考えることを続けなければならないと思います。

 スポーツは、健常者も障害者も関係なく心を寄せ合う社会への入り口になると信じています。東京パラリンピックで躍動するパラアスリートを目にした子どもたちには、胸に抱いたさまざまな思いを大切にしてほしい。

 どのような障害を持ち、普段はどのような生活をしているのか、なぜ身近に障害者とふれ合う機会が少ないのか、なぜ同年代の子どもが同じ学校ではなく特別支援学校に通うのか……。選手のパフォーマンスだけでなく、社会環境について考えるきっかけとなれば、それはレガシー(遺産)になります。誰もが何かを得る機会になる大会であってほしいと思います。

 私も出場して最高のパフォーマンスを発揮し、多くの人に自分の思いや考えを知ってもらいたい。そのためには経験だけに頼るのではなく、知識を養わなければなりません。それが自分の責任だと思います。

 東京オリンピック・パラリンピックで海外からも多くの障害者が訪れることが予想されますが、日本社会が完璧なおもてなしをできなくてもよいと思っています。失敗はつらいですが、その経験が社会の変化につながり、心のバリアフリーが深化するのだと思います。

休日などのリフレッシュ方法を教えてください。

 趣味である映画やミュージカルの鑑賞に没頭することです。お気に入りの映画は「シング」。5回も映画館に通いました。ミュージカルは「ウエストサイドストーリー」が好きです。完璧なミュージカル。本場の米ブロードウェーにも行ってみたいです。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、最近は劇場に行くのを我慢しています。自宅にこもって動画配信サービスを楽しむのが賢明ですね。

たかくわ・さき

 埼玉県熊谷市出身。小学6年で骨肉腫を発症し、中学1年で左脚膝下を切断した。慶大2年だった2012年、ロンドン・パラリンピックに初出場。15年世界選手権では走り幅跳びで銅メダルを獲得した。16年リオデジャネイロ・パラリンピックは同5位、100メートル8位、200メートル7位。NTT東日本所属。27歳。