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新型コロナの政府対応 首相は科学的分析尊重を

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 新型コロナウイルスの感染爆発抑止は「1、2週間が瀬戸際」との見方が示されて2週間。政府の専門家会議が新たな「見解」をまとめた。

 現時点では懸念された感染爆発には進んでいないという。ただし、感染者の増加は続き、その背後に、見えない感染拡大がある可能性があることから、今後も状況は予断を許さないとの認識を示している。

 欧州、中東、アジアで感染が急増している国もある。そこから日本に飛び火する場合もある。たとえ国内で感染拡大を一旦抑え込めたとしても再流行が起きる可能性は高い。

 今後は、各地で流行と抑制が繰り返される「長期戦」を覚悟し、政府はそれに応じた対策を迅速かつ適切に講じていかねばならない。

 その時に重要なのは、安倍晋三首相らが専門家会議の科学的分析を尊重することだ。小中高校などの全国一斉休校要請も、中韓を対象とする入国規制強化も、安倍首相は専門家会議の意見を聞かずに打ち出した。

 確かに危機管理において政治判断が必要なことはあるだろう。ただ、それには国民を納得させる根拠が必要だ。科学的分析に基づかない判断は大きな副作用を招く恐れもある。

 唐突に求められた一斉休校では保護者が職場を休まねばならず、医療現場を含めて影響が及んでいる。効果の裏付けがない水際対策強化は検疫作業などの負担を増すだけでなく、他の感染急増国への対応が後手に回りかねない。

 北海道での緊急対策の効果の分析に一定時間がかかるのは納得できる。政府の対策本部は拙速な判断を避け、科学的分析を踏まえて今後の対応を決めてほしい。法に基づく「緊急事態宣言」についても同様だ。

 大阪のライブハウスを起点に生じたような感染クラスターの早期発見・早期対応は今後も重要だ。これを長期的に実施していくには最前線で対応する保健所などの負担軽減や支援が必要だ。集団感染を招きやすい業種に営業自粛を呼びかける場合は、その補償も考えねばならない。

 感染者の増加とともに一般医療機関が対応を担う場面も出てくる。院内感染のリスクを考えるとすべての医療機関が対応するのは無理がある。日本医師会とも連携し、役割分担の体制を整える必要がある。

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