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南三陸で「心の癒やしに」始めた編み物が、山形でブランドへと成長

南三陸町の女性たちと作った「テトリコット」の2020年春夏商品のかご=佐藤繊維提供

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 東日本大震災の被災者の「心の癒やしに」として始まった編み物が、手編みのニット製品ブランドへと成長した。山形県寒河江市の紡績会社「佐藤繊維」が昨秋、宮城県南三陸町在住の編み手3人と協力してブランド化。佐藤正樹社長(53)は「支援ではなく、対等な立場でビジネスとして長く続けていきたい」と話す。震災から11日で9年。被災地で培った技術が新たな一歩を踏み出している。

 両者の橋渡し役を務めたのは、震災後の2011年3月から被災者支援をしてきた盛岡市のボランティア団体「ハートニットプロジェクト」の松ノ木和子さん(68)=同市。全国から寄付された糸と編み棒、編み方の説明用紙をセットにし、岩手県陸前高田市や同県山田町、南三陸町などの避難所に届けてきた。すると、編み物の作品の精度が高かったことから、同6月には岩手県内のイベントで手作りのキーホルダーやマフラーなどの販売を開始。その後は国内外から手袋や帽子などの注文が入るようになった。

 この技術を仕事として残そうと、松ノ木さんはアパレルなど複数の会社に呼び掛けてきた。プロジェクトは19年5月に解散したが、松ノ木さんが仲介した佐藤繊維は南三陸町に通い、熟練の技術を身につけた編み手3人と協議を重ね、同10月、新ブランド「Tetricot(テトリコット)」を作った。名前に含まれる「tri」は「3」を意味し、佐藤繊維、編み手、ハートニットプロジェクトの3者を表す。松ノ木さんは「やっと扉が開いた。価値ある物をどうやって世に届けるか。そこが(佐藤)社長の思いと共通していたと感じる」と喜ぶ。

編み手として活躍する(左から)佐藤とし子さん、諏訪ふじ子さん、西城たえ子さん=宮城県南三陸町で2020年2月28日、日高七海撮影

 第1弾の19年秋冬商品は手袋と帽子で、南米から取り寄せた天然の羊毛を使用。編み手の西城たえ子さん(70)、佐藤とし子さん(72)、諏訪ふじ子さん(67)の3人は昨年6月から、南三陸町の自宅などで作業を始め、ぬくもりを感じることを大事にしながら計約200個を制作した。西城さんは「失敗できない責任感と、うまくできるのかと不安があった。でも、『売れるといいね』と話しながら楽しく作り、できた時はうれしかった」と目を細める。

 20年春夏の商品は「かごバッグ」。取っ手の一部にはかすり染めの和紙を、バッグ部分は手紡ぎのシルクとリネンを合わせた素材を使用した。「編み物が自分たちに合っていた。次はどんな製品を編めるのか。これからが楽しみです」と声をそろえる。【日高七海】

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