- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

就職を希望する障害者が、それぞれの能力や強みを生かすため、企業側が労働環境や仕事内容を障害者に合わせることで就業ニーズを満たす「カスタマイズ就業」と呼ばれる就労のスタイルがあるという。どういったものなのか実践している企業を取材した。【吉田卓矢/統合デジタル取材センター】
過去最高の雇用数を実現するも……
国は障害者雇用促進法に基づき、企業や自治体などが雇うべき障害者の割合(法定雇用率)を定めている。企業(従業員数45・5人以上)は2・2%、国や自治体は2・5%だ。厚生労働省の昨年12月のデータによると、障害者の雇用数は約56万人で、16年連続で過去最高を更新。しかし、対象となる18~65歳の障害者全体(約355万人)の2割に満たず、法定雇用率を達成した企業も約48%にとどまる。
仕事の定着率も課題だ。障害者職業総合センターの調査(2017年)によると、就職から1年後の定着率は、知的・身体の障害者が6~7割、精神障害者は5割以下。調査では、「労働条件が合わない」「障害・病気のため」などの離職理由が挙げられている。ただ、そこへ至るには、求人内容と本人の希望・能力とのミスマッチや、職場の障害への無理解なども原因として考えられる。こうした状況を改善する働き方の一つがカスタマイズ就業だ。
「こんなに自然体で仕事ができるなんて思わなかった」
2月25日午前10時ごろ、川崎市の会社員、林谷隆志さん(39)は、会社員をしている妻を送り出した後、掃除・洗濯を済ませてから、自宅のパソコン前に座った。チャットで就業開始の報告をした後、仕事をスタート。会社のウェブサイトに掲載する記事の執筆に取りかかった。
この日は、求職中の障害者が就職活動を始める際に気をつける事柄をまとめたものなど3本の記事を書いた。1時間の昼休みを挟んで午後5時まで働き、最後に、当日の体調や仕事の内容・反省点などをまとめた終業報告をチャットで送りパソコンを閉じた…
この記事は有料記事です。
残り2929文字(全文3746文字)