- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

生きていたら、こんなふうに成長していただろうか。東日本大震災の津波で次女の美咲さん(当時17歳)を亡くした福島県南相馬市の田村江久子さん(62)は、娘の同級生だった只野菜月さん(26)=同市=と交流を続けてきた。11日、市主催の追悼式で遺族代表のあいさつに立ち、「空から見守ってね」とハンカチで目頭を押さえながら声をかけた。
「行ってもいいですか?」。10月25日の美咲さんの誕生日が近づくと、携帯電話に只野さんからメッセージが毎年届く。自宅でごちそうするのは、美咲さんが好きだったハンバーグ。「喜んでもらえっから、作りがいあんのよ」。近況を報告し合って笑った後、見送るのが少し寂しい。
あの日、市内の勤務先で揺れを感じた。部活が休みだった美咲さんや夫の充さん(当時56歳)と、メールで安否を確かめた。自宅は海から約100メートル。外出していた長女は無事だったが、美咲さんと夫、同居していた母スサエさん(同78歳)は遺体で見つかった。父勝美さん(同83歳)は行方不明のままだ。
「おかあのマドレーヌ食べて、パティシエになりたいって思ったんだよ」。美咲さんは将来の夢をそう語った。中学生になると、バレンタインデーを前に、家に集まった同級生とチョコレートを作った。田村さんはマドレーヌを焼いた。自分はこれしか作れないのに。娘の言葉は意外だった。
51歳の誕生日は、手作りケーキで祝ってくれた。美咲さんは中学3年生。「おかあは生クリームが好きだから、いっ…
この記事は有料記事です。
残り680文字(全文1305文字)
時系列で見る
-
「やっとつながってうれしい」 復興への決意を新たに JR常磐線全線運転再開
1059日前動画あり -
進む仮設住宅の再利用 「月2.5万円、広さは都内の倍」 体験型宿泊施設も
1059日前 -
女川唯一のスーパー9年越しの復活 津波で犠牲の母に届け、涙の再出発 宮城
1059日前 -
JR常磐線、9年ぶり全線運転再開 富岡-浪江間復旧、東京にも直行
1059日前動画あり -
復興支援、10回目の缶バッジ販売 山形・米沢観光コンベンション協会
1060日前 -
閖上津波訴訟で和解が成立 岩手、宮城両県の集団訴訟全て終結
1061日前 -
家族救えなかった高校生の研究に応え 町が防災無線の内容変更へ 岩手・大槌
1061日前 -
「あの日までここで、笑っていた」石巻・旧大川小校舎で特別授業 児童遺族がオンラインで
1061日前動画あり -
新型コロナで追悼式中止相次ぐ 東日本大震災から9年、死者1万5899人
1062日前 -
「娘が帰ってきた」誕生日に会いに来てくれる親友 津波から止まった時を埋める交流
1062日前 -
菅氏が苦言 森法相の「震災で検察官が最初に逃げた」答弁撤回で
1062日前 -
両親犠牲の24歳、乗り越えた“過去” 「父さん、母さん、元気にやってるよ」 東日本大震災9年
1062日前 -
福島第1原発「廃炉後更地」は「あまりに非現実的」 更田規制委委員長
1062日前 -
首里城焼失の沖縄を励ましたい 岩手日報が沖縄で震災特別号外配布
1062日前 -
「放射能の悲劇、二度と」 爆心地で震災追悼イベント 長崎
1062日前動画あり -
ロッテ佐々木、津波で家族亡くした体験語る 「風化させたくない」
1062日前 -
「離れていても被災者だよ」 弟失った女性 同級生に救われ陸前高田に"居場所"
1062日前 -
息子の命が導いてくれた縁とバトン 企業の防災意識変えるため「種まき続ける」 宮城の夫妻
1062日前 -
被災地事業 「やる気」に応えられぬ制度 宮城を歩いて実感した課題
1062日前