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余録

戦争により5年間にわたりセンバツ大会が中断した後の…

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 戦争により5年間にわたりセンバツ大会が中断した後の1947年春である。甲子園での戦後初のセンバツ開会式は米軍楽隊の演奏や米軍連絡機からの始球式ボールの投下など、占領軍による派手な演出があった▲実は占領軍はセンバツ開催に「全国大会は夏だけでいい。他競技に比べても2度は要らない」と反対していた。それを変えたのは通訳の女性の「センバツは関西に春をもたらす。やめると日本人にうらまれますよ」という言葉である▲「春をもたらす祭典」には占領軍も宣伝効果を期待したのか、全面協力となった。大会歌の合唱や入場行進での花火も、野球の春の訪れを祝う演出としてこの時に始まったという。球児たちのプレーが呼び込んだ戦後日本の春だった▲このセンバツ再開以来初めての大会中止である。感染の広がる新型コロナウイルスを思えば、無観客試合でも集団行動をする選手のリスクは否定できない。それらを考えての苦渋の決断となった。コロナに奪われた甲子園の春である▲「奪われた春」に身の震えるようなくやしさをかみしめているのは、むろん出場するはずだった選手だろう。めぐり合わせの不運はなぐさめようもない。だが人生には時にそんな理不尽(りふじん)のあることは過去の大会中止の歴史でも分かる▲君たちにはどうか野球少年としても、一高校生としても、今の思いを将来にどう生かすかを考え続けてほしい。君たちがプレーでもたらせなかった春を、いつの日か誰かにそっと手渡せるその日まで……

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