特集

第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

特集一覧

センバツ中止 球児「悔しい」

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
中京大中京の(左から)伊藤正男校長、高橋源一郎監督、今村陽一部長=名古屋市昭和区の同校で11日午後6時6分、兵藤公治撮影 拡大
中京大中京の(左から)伊藤正男校長、高橋源一郎監督、今村陽一部長=名古屋市昭和区の同校で11日午後6時6分、兵藤公治撮影

 第92回選抜高校野球大会は11日、中止されることが決まった。新型コロナウイルスの感染拡大で社会不安が強まる中、無観客での開催がぎりぎりまで模索されたが、断念せざるを得ない状況となった。出場が決まっていた学校の選手はやりきれない様子で「悔しいが、しょうがない」と語り、監督は「甲子園の土を踏ませたかった」と部員らを思いやった。

前を向かせてあげたい 中京大中京・高橋源一郎監督

 中京大中京(愛知)は11日、日本高校野球連盟から中止の連絡を受け、名古屋市昭和区の同校で記者会見した。高橋源一郎監督(40)は沈痛な表情で「高校野球はこれで終わりではない。選手との向き合い方を考え、前を向かせてあげるようにしたい」と語った。

 同校は2019年秋の東海大会を制し、各地区大会の優勝校が集まる11月の明治神宮大会も初優勝。10年ぶり31回目出場のセンバツで優勝候補の一角を占め、昨春の大会を制した東邦高(同)に並ぶ史上最多の5回目の優勝が期待されていた。

 政府の一斉休校要請を受け、同校は2日から休校。しかし、硬式野球部は大会出場に向け、通勤や帰宅の混雑時間を避けて早朝に集合し、午後3時ごろまで練習をして準備してきた。

 伊藤正男校長(62)は「選手にかける言葉がない。残念だ」と肩を落とした。

 選手たちには12日に中止を報告する予定。高橋監督は「人生では思うようにいかないときもある。これを乗り越え、夏への大きな力になれば」と話した。【鈴木英世】

選手にかける言葉ない 県岐阜商・鍛治舎巧監督

県岐阜商の鍛治舎巧監督(右)と上畑将責任教師=岐阜市則武新屋敷の同校で11日午後6時52分 拡大
県岐阜商の鍛治舎巧監督(右)と上畑将責任教師=岐阜市則武新屋敷の同校で11日午後6時52分

 県岐阜商(岐阜)は11日午後6時半から、岐阜市則武新屋敷の同校で記者会見した。練習後に記者会見に臨んだ鍛治舎巧監督(68)は「まだ何も考える余裕がない。選手にかける言葉も、今は見つからない」と言葉を詰まらせた。

 自身も県岐阜商の選手時代に甲子園出場を果たした鍛治舎監督。「甲子園は人生が変わる場所。私も1本の本塁打で人生が変わった。そういう場にしてあげたかった。まさに断腸の思い、痛恨の極みで、残念だ」と涙をにじませた。

 県岐阜商は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2日から練習を中止したが、無観客での開催方針が示された翌日の5日から練習を再開していた。12日以降は、再び練習を中止する。

 鍛治舎監督は「高校野球はアマチュアスポーツというよりも文化になっている。本音を言えば、判断をもっと後にしてもよかったのではないかと思う。だが中止と決まったので、選手を励まして、夏の甲子園に向けて気持ちを切り替えないといけない」と語った。【横田伸治】

「かわいそう」「仕方ない」

 センバツ中止決定を知った野球ファンは、球児たちの無念を思いエールを送った。

 「断腸の思い、では言い足りない。選手や家族の気持ちを思うと言葉が出ない」と昨春の大会を制した東邦OBの広田徹さん(74)は話した。在学中、応援団としてアルプスで声援を送った。「あの場所で感じる高揚感は今でも分かる。(同じ愛知の)中京大中京の活躍を期待していただけに残念でならない」と唇をかんだ。

 名古屋市東区の中学2年、松田珠希さん(14)は「毎日厳しい練習をしてきたと思うとかわいそう」と声を落とした。中学の卒業式も在校生は参加できず「卓球部でお世話になった先輩を送り出せなかった」と悔やんだ。

 20~30年来の高校野球ファンで、岐阜県本巣市在住の岩塚利幸さん(61)は「開催してほしいが、事態が事態なので仕方ない。(出場予定だった)球児たちは夏に向けて頑張ってほしい」と話した。【井口慎太郎、沼田亮】

あわせて読みたい