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勧酒詩選

満開の桜でなくてもいい 花に酔いたい 続・憂鬱すぎる春に

満開の桜=東京都豊島区西池袋で2016年春

 先々週の2月26日、この欄を書きながら思っていたこと以上に、憂鬱すぎる春になってしまった。

 わがセンバツも中止になった。世の中の自粛ムードは最高潮に達している。これはもうムードというより、「国是」「社会正義」化しているというべきだ。自粛して行動を慎むのが、国益にかなった行為なのだ。それ以上に、万国共通の「国際益」にすらなろうとしている。

花見にも圧力

 皮肉なことに、今年の桜は早いというではないか。来週末あたり、東京近辺では満開を迎え、絶好の花見の舞台が用意されそうだ。

 しかし、花見に対しても、国是の圧力がかかっている。とりわけ、樹下の酒宴などもってのほかというのが、現今、節度ある大人のふるまいということになる。

 花の下に参じて、どう花をめでようと、それは個人の自由と言いたいところだが、桜の木は大体、公園とか堤防に植わっていて、そこを管理する立場の人がいる。彼らは責任を果たそうとするだろう。

 新型コロナウイルス感染の「要警戒 3要素」とは、①換気の悪い密閉空間②人の密集③至近距離で話したり歌ったりする――の三つが重なることである。①が花見の宴会にまったく当てはまらないのは明白だけれど、現状、まあ、そうも言っていられないのである。

1人でひそかに……

 となると、これはもう、1人、ひそかにやるしかない。

  花間一壺酒

  独酌無相親

  (花間(かかん) 一壺(いっこ)の酒 独(ひと)り酌(く)みて 相い親しむもの無し)

 李白の「月下独酌」という4首連作の「その一」である。

 月下とあるが季節は春。一人飲んでいるうちに、月が出てきて、月と自分の影を友とし、自分も入れた3人で飲むとする…

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伊藤和史

1983年入社。岐阜支局、中部報道部、東京地方部、東京学芸部、オピニオングループなどを経て、2019年5月から東京学芸部。旧石器発掘捏造(ねつぞう)事件(2000年)以降、歴史や文化財を中心に取材

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