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原発避難者訴訟、ふるさと喪失認める 初の高裁判決 東電に7億3350万円支払い命じる 仙台高裁

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東京電力福島第1原発事故の避難者らが東電に損害賠償を求めた裁判の高裁判決後、「勝訴」「ふるさと喪失損害を認定」などと書かれた幕を掲げる弁護団=仙台高裁で2020年3月12日午後2時40分、和田大典撮影

 2011年の東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た地域の住民ら216人が東電に計約24億9000万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(小林久起裁判長)は12日、1審判決から約1億2000万円を増額し、住民213人へ計約7億3350万円の支払いを東電に命じた。原発事故を巡る全国約30の同種訴訟のうち高裁判決は初めて。

 18年3月の1審福島地裁いわき支部の判決は住み慣れた土地での暮らしや人間関係などを奪われた「ふるさと喪失」の慰謝料を認めたものの、他の慰謝料と合算して算出していた。今回はふるさと喪失の慰謝料を独立して認めた。

 原告は放射線量が高く、立ち入りが制限されている帰還困難区域など避難指示区域の195人、旧緊急時避難準備区域の21人。早期の結論を得るため、国を被告としなかった。

東京電力福島第1原発事故の避難者らが東電に損害賠償を求めた裁判の高裁判決を受け、横断幕を手に涙をこらえる原告団の早川篤雄団長(左)=仙台高裁前で2020年3月12日午後2時43分、和田大典撮影

 原告は精神的苦痛による慰謝料を「ふるさと喪失」(1人500万円)と、避難生活に伴う損害(1人月5万円)に分けて主張。東電は賠償基準を定めた国の指針を踏まえて慰謝料を支払っており、それ以上の賠償を拒否していた。

 判決で小林裁判長はふるさと喪失について「突然避難を余儀なくされて容易に帰還できず、帰還しても地域社会全体が大きく変容した」として、独立して慰謝料を算出。避難に伴う他の慰謝料と合わせて、放射線量が高い順に、帰還困難区域の住民(既払い額1450万円)に150万円▽居住制限区域と避難指示解除準備区域(同850万円)に250万円▽緊急時避難準備区域(同180万円)に120万円――をそれぞれ支払うのが妥当とした。

 東電の責任を巡っては、遅くとも08年4月ごろには津波を予見できたと指摘。「具体的な対策を先送りし事故に至った」と事実上過失を認定した。

 1審判決は住民213人に計約6億1240万円の支払いを命じ、住民と東電の双方が控訴していた。判決は国の指針を大きくは超えておらず、原告弁護団の小野寺利孝弁護士は「ふるさと喪失を独立して認めるなど極めて画期的だが、認定額は不十分で、国の指針に引きずられた判決」と話した。【寺町六花】

ふるさと喪失慰謝料

 原発事故によってふるさとにあった人間関係や豊かな自然を永遠に失ったとして、避難者らが求める賠償。国の指針は、帰還困難区域の住民に「故郷喪失」に対する慰謝料として1人700万円を支払うとした。今回の原告は、指針が定める慰謝料は、避難に伴う苦痛への賠償にとどまるとし、上積みや同区域外への対象拡大などを求めていた。ふるさと喪失を独立した慰謝料として認定した地裁判決は、17年9月の千葉と19年2月の横浜の2件。

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