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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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開催中止 花咲徳栄 関係者、球児にエール/選手ら、夏に向け新たな一歩 /埼玉

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トレーニングに励む選手ら=埼玉県加須市花崎の花咲徳栄高校グラウンドで 拡大
トレーニングに励む選手ら=埼玉県加須市花崎の花咲徳栄高校グラウンドで

 <センバツ高校野球>

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて第92回選抜高校野球大会が中止となり、夢舞台での活躍がかなわなかった花咲徳栄の選手たちは12日、加須市のグラウンドで夏に向けた再スタートを切った。県内ゆかりの野球関係者から、球児に向けたメッセージを寄せてもらった。【鷲頭彰子、畠山嵩、平本絢子】

社会のこと考えて 春日部高野球部OBでスポーツライターの青島健太さん(61)

 花咲徳栄は甲子園常連校だが、一人一人の球児たちにとっては何度もあるチャンスではない。可哀そうでならない。

 球児たちに考えてほしいのは、スポーツは自分たちだけで成り立っているわけではないということ。応援する人がいるから力が発揮できる。運営者がいるから大会が開催できる。社会が健康で、健全で、平和だからスポーツが成り立つ。何もない時は考えないが、こういう事態の中でこそ学べることもある。

夏の開催を信じて 2013年のセンバツを制した浦和学院の森士(おさむ)監督(55)

 中止は世の中の情勢を受け止めるしかないが、野球人、また高校野球に携わる監督として、出場を楽しみにしていた選手の気持ちを考えると心苦しい。東日本大震災が起きた11年のセンバツに出場したが、当初は開催が危ぶまれていた。「もし中止になったら選手に何と言ったらよいのか」と恐怖感を覚えたが、その時と同じ気持ちがする。選手たちは夏の大会が開催されることを信じて、目の前でできることをしっかりやってほしい。

野球は特別でない 春日部共栄の本多利治監督(62)

 現場の監督としては「生徒は出してやりたい」と思うが、敵がウイルスではどうにもならない。(他の競技が)軒並み大会を自粛している以上、野球だけやるのは難しいと思っていた。高校野球だけが特別ではないし、特別にしてはいけない。

 選手たちは落胆しているはずだが、気持ちを切り替えてやるしかない。早く監督と話し合い、夏に向けて気持ちをもっていってほしい。

前向きに練習を 1993年夏に春日部共栄で準優勝を経験したさいたま市の自営業、中村剛啓さん(44)

 甲子園のじゅうたんのような土、階段を上がってインタビューの場所に向かう時の気持ちなど、プレーした選手じゃないと分からないものがたくさんある。甲子園には魔物がいると言われるが、力以上のものが出せるのも甲子園だ。そんな甲子園だからこそ、意識を高く持って、前向きに練習を頑張って夏を目指してほしい。

これをバネにして 埼玉栄高出身で元ソフトボール日本代表の高山樹里さん(43)

 高校野球は小さなころからずっと見ている。高校3年間のほんの一瞬の大事な時期に、(大事な大会が)できなくなるというのは言葉に言い表せないような気持ちだと思う。私自身も悔しい。中止になった他の競技の高校生たちも、これをバネにして新しい目標に向かってほしい。

春季大会準備する 県高野連の小山友清専務理事(60)

 現在の感染拡大と政府の自粛要請を鑑みると、センバツの中止決定はやむを得ない。現段階では、春季大会は開催できるよう準備を進めていく。4月3日の抽選会は教諭のみの参加で考えている。同10日から始まる地区予選についても、今後の情勢や県からの通知などを踏まえて決める。

 一生懸命やっている選手は今、すごく不安だと思う。今はつらいだろうが、やれることをやってほしい。私たちも何でも中止・自粛ではなく、どうすれば開催できるかを考えていく。


花咲徳栄 夏に向け新たな一歩

 花咲徳栄(加須市)では12日、選手らが午前中にミーティングを行った後、午後はグラウンドなどでランニングや筋トレなどに汗を流し、新たな一歩を踏み出した。

 岩井隆監督によると、12日朝は「くしくも3・11という震災と同じ日に起きた出来事を、深く重く受け止めて考えてほしい」と、新聞全紙を選手ら全員で読み、複数の班に分かれて意見を出し合ってリポートを提出した。岩井監督は「32校しか経験できないこと。自分たちが感じていくことが心のケアになる」と話した。

 今後は練習時間を短縮し、引き続き寮にいるメンバーを中心に練習を続ける。【平本絢子】

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