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東京へ ともに歩む

毎日新聞

インタビューで東京五輪への思いなどについて答えるトランポリンの森ひかる=東京都北区の国立スポーツ科学センターで2020年2月23日、喜屋武真之介撮影

Skill

空中で高く、美しく トランポリン・森ひかるの「トリフィス」

 トランポリン女子で世界と戦うために重要な鍵となる技がある。縦回転の3回宙返りに横回転のひねりを加えた大技「トリフィス」。2019年の世界選手権を制し、東京オリンピックでも金メダルを期待される森ひかる(20)=金沢学院大ク=は、このトリフィスを「自分の武器」として磨いている。その極意とは。【円谷美晶】

 

 トランポリンは異なる10種目の跳躍を連続で行い、姿勢の出来栄えなどを評価する「演技点」、技の組み合わせから算出する「難度点」、高さを得点化する「跳躍時間点」、着地位置によって減点される「水平移動点」の4要素の合計点で競う。高さや難易度を上げれば、逆にバランスを失ってフォームが乱れ、不安定になることもある。

 冒頭に3回宙返りを1本入れる選手は多いが、森は10本の跳躍にトリフィスを2本入れる。膝を曲げない「屈伸型」と、膝を曲げる「抱え型」だ。指導する金沢学院大クの丸山章子監督は「3回宙返りを2本使うことは、女子選手がトップクラスになるための一つの壁」と話す。ただし、トリフィスを2本入れても、高さが落ちたり移動が大きかったりすれば得点は伸びない。他の8本の跳躍に影響すれば中断のリスクもある。

 森がトリフィスを習得したのは小学6年の時。しかし、東京五輪を目指して強豪・金沢学院大の付属校である金沢学院東高(現金沢学院高)に編入後は、約4年間その「武器」を封印してきた。トリフィスを入れても高い精度の演技ができるよう、低い難度の演技で高さを強化し、後半になっても高さが落ちないようスタミナを付けてきた。そして19年夏、東京五輪出場権のかかった世界選手権に向けて、満を持してトリフィスを解禁したのだ。

 森のトリフィスの特徴は高さと空中姿勢の美しさ。丸山監督によると、森はトランポリンのバネを捉えて高さにつなげる天性のセンスがあるという。多くの選手が3回転目にかけて次第に高さが落ちていくのに対し、森は高さを上げていく。東京五輪で頂点に立つには、3回宙返りの質を高めることが重要だ。森は「トリフィスに対する自信はある。いいものを求めていきたい」と意気込む。

森ひかる(もり・ひかる)

 東京都足立区出身。4歳でトランポリンに出合う。13年の全日本選手権個人を史上最年少の14歳で優勝。19年の世界選手権で男女を通じて個人で日本勢初の金メダルを獲得した。

円谷美晶

毎日新聞東京本社運動部。1985年、東京都生まれ。2009年入社。北海道報道部、千葉支局を経て、東京社会部では気象庁や東京都庁を取材。18年から東京運動部で五輪取材班となり、体操、トライアスロンなどを担当。高校までの部活動は陸上で中・長距離の選手。いつも皇居周りを走っていた。