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3人で暮らした東京都内のアパートに入ると、松永さん(33)の時間は止まる。リビングの壁に掛けたカレンダーは2019年4月のまま。長女の莉子(りこ)ちゃん(当時3歳)が遊んだおもちゃも、開けてしまったふすまの穴もあの日から変わっていない。その中で「ノンタン」の絵本だけが真新しい。娘が大好きで、よく読み聞かせた絵本は「天国に持って行ってもらおう」とひつぎに納めたので、同じ本を買って部屋に置いたからだ。妻の真菜さん(当時31歳)が料理する時に開け閉めしていた冷蔵庫の中身も整理できていない。静まりかえった空間で、松永さんは目をつぶり、本気でこう考える。
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