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池袋暴走 遺族男性の1年 「事故減らす」使命に 憎しみと闘い、動く

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真菜さんと莉子ちゃんが亡くなった事故現場に立つ松永さん。今も献花に訪れる人が絶えない=東京都豊島区で2020年2月8日、小川昌宏撮影
真菜さんと莉子ちゃんが亡くなった事故現場に立つ松永さん。今も献花に訪れる人が絶えない=東京都豊島区で2020年2月8日、小川昌宏撮影

 3人で暮らした東京都内のアパートに入ると、松永さん(33)の時間は止まる。リビングの壁に掛けたカレンダーは2019年4月のまま。長女の莉子(りこ)ちゃん(当時3歳)が遊んだおもちゃも、開けてしまったふすまの穴もあの日から変わっていない。その中で「ノンタン」の絵本だけが真新しい。娘が大好きで、よく読み聞かせた絵本は「天国に持って行ってもらおう」とひつぎに納めたので、同じ本を買って部屋に置いたからだ。妻の真菜さん(当時31歳)が料理する時に開け閉めしていた冷蔵庫の中身も整理できていない。静まりかえった空間で、松永さんは目をつぶり、本気でこう考える。

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