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自分で記者を指した安倍首相 前回会見より16分増えたが、疑問に答えたか?

記者会見で挙手する記者たちを見る安倍晋三首相(左)=首相官邸で2020年3月14日午後6時31分、川田雅浩撮影
記者会見で挙手する記者たちを見る安倍晋三首相(左)=首相官邸で2020年3月14日午後6時31分、川田雅浩撮影

 苦い記憶がずっと残っている。昨年12月9日、安倍晋三首相が臨時国会閉会後に開いた記者会見だ。「桜を見る会」についての疑問をぶつけようと取材班のメンバーで臨んで挙手したものの、当てられずに終わった。

今年2月29日の新型コロナウイルスに関する記者会見は36分で打ち切られ、世論の批判が高まった。「緊急事態宣言」による人権侵害の可能性も指摘される改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の成立を機に開かれた14日の記者会見はさすがに「丁々発止」になるだろう、と思って3カ月ぶりに首相官邸に足を運んだのだが……。【江畑佳明、木許はるみ/統合デジタル取材センター】

官邸側「前回以上の時間を確保する」

 朝から降っていた雨が、午後にはみぞれに変わった。吐く息は白く、傘を握る手が赤くかじかむ。こんな天気なのに東京都心は観測史上最も早く桜が開花したという。入り口で昨年12月の時と同じように手荷物チェックを受けて官邸に入り、会見場の最後列に座った。あの時よりも、明らかに記者の数が多い。今回は100人近くいるだろうか。外の寒さと対照的に、熱気がこもっていた。

 首相官邸の記者クラブ「内閣記者会」は前回の質疑時間が不十分だったことから、十分な時間の確保を要請しており、官邸側は「前回以上の時間を確保する」という意向を示していた。会見直前に内閣記者会の掲示板でこのことを知り、期待は高まった。「質問が出尽くすまで答えてくれるのだろうか」

昨年12月の会見とは雰囲気が全く違う

 午後6時ちょうど。安倍首相が向かって右側の入り口から入ってきた。菅義偉官房長官や杉田和博官房副長官らが並んで頭を下げる前を胸を張って横切り、演台の前に立つとすぐに話し始めた。「緊急事態の判断にあたっては専門家の意見を伺いながら慎重な判断を行っていく」「現時点で緊急事態を宣言する状態ではないと判断しています」――。

 左右には透明な板が設置されている。原稿が映し出される「プロンプター」だ。首相が時々、左右に視線をやりながら話すのはプロンプターを見ているためだ。冒頭発言は21分も続いた。ちょっと長い。

 そして両脇のプロンプターがするすると下がった。ここからが質疑応答、記者会見の本番だ。内閣記者会幹事社による代表質問から…

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