メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

自身の留学時の体験なのか、森鷗外は…

[PR]

 自身の留学時の体験なのか、森鷗外(もりおうがい)は小説でドイツでの「花見」にふれている。「寒い国では、春が一どきに来て、どの花も一しょに咲きます。桜の花もないことはありませんが……花見はいたしません」▲「桜の沢山(たくさん)植えてある所があります。そこへ日本から行っている学生が揃(そろ)って、花見に行ったことがありましたよ……女工が通り掛かって、あの人達は木の下で何をしているのだろうと云(い)って、驚いて見ていました」(かのように)▲鷗外はドイツの桜はサクランボのなる木のことだというが、造園学者の白幡洋三郎(しらはた・ようざぶろう)さんによれば今日のドイツには花だけの「日本桜」もある。だが、どんなにみごとに花が咲いていても、立ち止まって眺めるような人はいないそうだ▲白幡さんの著書「花見と桜」は、日本の花見の「群桜・飲食・群集」という3要素に着目している。群れ咲く桜、その下の飲食、そして大勢の人出……その三つがそろうのが「花見」で、むろん日本以外の地域にない春の集団行動だ▲新型コロナウイルスの感染拡大で、その花見の三位一体(さんみいったい)も崩れそうである。すでに各地での恒例の桜祭りの中止が相次いでいるほか、公園などを管理する国土交通省や東京都など各地の自治体が花見での宴会自粛を求めているからだ▲春らんまんの喜びを花の下の誰もが平等に分かち合う日本の花見だ。もし飲食や群集の様子がいつもと違っても、変わらぬ群桜から受け取る心の弾みはみんなで分かち合おう。人類と感染症の闘いの春である。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「優しく温厚。成人式で会えると…」 大阪・巻き添え死 女子学生の友人が涙

  2. 大阪・梅田HEP FIVEで高校生転落し死亡 路上の19歳巻き添え意識不明

  3. 24歳兄が妹・弟を包丁で刺す 犯行後飛び降りか、兄は死亡 東京・東村山

  4. #排除する政治~学術会議問題を考える 行革や効率性で「文句を言う人」飛ばす怖さ 菅政権の新自由主義 重田明大教授

  5. 時代の風 菅政権1カ月 民主主義の本質は議論=藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです