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障害者スポーツの裾野/上 夢に向かうスタートラインに 義足で「走る喜び」かみしめ

スポーツ用義足でトラックを駆ける「スタートラインTokyo」の参加者たち=東京都北区の都障害者総合スポーツセンターで2020年2月9日午後4時33分、五十嵐朋子撮影

 元々負傷軍人のリハビリから始まった障害者スポーツだが、パラリンピックなどを通じて、知名度が上がり、用具も進化する中、やってみたい、楽しみたいという機運が高まってきている。しかし、特有の課題も抱えている。障害者スポーツの裾野の今を取材した。

 走ることの意味――。それを何よりもかみしめている人たちが毎月集う場所がある。

 今年2月のある日曜日、東京都北区の都障害者総合スポーツセンター運動場に約50人の義足ランナーが集まった。ふだん使っている義足で準備運動をした後、スポーツ用の義足に履き替えると、それぞれのペースで走り始めた。風を切って黙々とトラックを走る人、かけっこをする子どもたち。リハビリを兼ねてゆっくり歩く人もいる。

 義足の人のためのランニングクラブ「スタートラインTokyo」はここで毎月1回練習会を開いている。中学3年の勅使川原みなみさん(15)=東京都府中市=が初めて参加したのは2019年3月のことだ。その8カ月前の18年7月、骨肉腫で左脚の膝下部分を失った。切断を決断した時は泣かなかったが、術後、車いすに乗って、地面に着いていない左脚の先を見ると涙がこぼれた。

 制服のスカートからのぞく義足で町を歩くと、二度、三度と目を向けてくる通行人の視線が怖かった。所属していたバスケットボール部をのぞきに行ったら、つらかったはずの練習が違ってみえた。「みんな楽しそうだなあ」。そんな中、クラブ代表で義肢装具士の臼井二美男(ふみお)さん(64)に義足の調整をお願いしたかったこともあり、練習会に顔を出してみた。

 初めて着けたスポーツ用義足。こわごわと地面を踏みしめる。ばねの力が強く「片足だけトランポリンに乗っているみたい」と思った。今では、安定して歩いたり走ったりできるようになってきた。「でも、今はまだ扱いづらいペットって感じかな。『言うこと聞いて!』って。お互い信用できてない」と苦笑いを浮かべる。術後は病気と闘うことが最優先で走ることなんて考えもしなかった。でも今は目標ができた。自宅近くの多摩川沿いの土手の道。「いつか自分のペースで走りたいなあ」

 大阪府和泉市の専門学校生、辻林慧(さとる)さん(20)もこのクラブで走る喜びを味わった一人だ。19歳のとき、バイク事故で左脚を失った。地元でランニングクラブを探したが、初心者でも参加しやすそうなクラブがなかった。「ここには義足の人がた…

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