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平松 洋子・評『残夢童女 石牟礼道子追悼文集』石牟礼道子資料保存会/編
2020/3/18 19:14(最終更新 3/18 19:21)
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ここにはいない人を引き寄せ その人は誰だったかを考え抜く
◆『残夢童女 石牟礼道子追悼文集』石牟礼道子資料保存会/編(平凡社/税別2500円)
2018年2月に逝去した石牟礼道子を悼む文を編んだ一冊である。
もう二年経(た)ったのかと思い、まだ二年とも思い、しかし、歳月や距離などを超えて、こちらが求めればつねに身近に寄り添うのが石牟礼道子なのだと、あらためて思う。 38人による、38の追悼文。一編一編に接してまず感じるのは、石牟礼道子という存在のはかりしれなさである。言葉をあてがうと、大事な何かが逃げてゆくような心許(もと)なさ、肝心なものを取り逃がす怖(おそ)れの感覚。そのうえで38人が38人とも自身の言葉をもって手向けとする、敬慕のおこないとしての追悼文だ。
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