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北陸ダークツーリズムガイド

観光の対象はさまざまで、戦争や災害の跡を始めとする悲劇の記憶を見に行く旅人もまた多い。1990年代から、ヨーロッパを中心としてこの悲劇の記憶を巡る旅の研究が掘り下げられ、一般に「ダークツーリズム」と呼ばれるようになった。ダークツーリズムは、悲劇の記憶を教訓として後世に引き継ぐ役割を持っていることから、急速にその支持を増やしつつある。本連載では北陸3県を中心としたダークツーリズムの旅を紹介する。

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金沢「天保義民の碑」 歴史の躍動を体感 /石川

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勝海舟が揮毫(きごう)した「天保義民の碑」=金沢市の駅西中央公園で、阿部浩之撮影
勝海舟が揮毫(きごう)した「天保義民の碑」=金沢市の駅西中央公園で、阿部浩之撮影

 金沢駅(金沢市)を降りた観光客の大部分は兼六園口(東口)の方に向かうであろう。西口方面は、今でこそ地元銀行の本店やNHK金沢放送局が移り、ビジネス街としてにぎわいを見せてはいるものの、新幹線の開通前は寂しさを感じさせる場所であったし、現在も観光対象となるものはほぼ見当たらない。

 実は私自身、東京出張への利便性を重視し、金沢に越してきた当初はいわゆる駅の西口方面である「駅西」のマンションに居を構えていた。城下町らしさを感じさせる風情がない中で、駅西中央公園を散歩していたところ、「天保義民の碑」なるモニュメントに出合うことになる。

 「百万石の城下町」と言われる金沢にも、当然のことながら影の部分はあるわけで、特に断続的に発生する飢饉(ききん)は加賀の雄藩を苦しめた。「天保の大飢饉」とは1833年から1839年にわたって続いた大規模な凶作を指す。コメの不作に悩んだ西念新保村・北安江村・南新保村の村役15人は、近隣の農村を代表して加賀藩に年貢の減免を願い出るも受け入れられず、親族ともども五箇山(富山県)に流されることとなる。彼ら…

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