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話題のドラマ「恋つづ」 視聴率急上昇のわけ 「キュンキュン」場面を予想を超える演技で魅せた佐藤健

「恋はつづくよどこまでも」最終回(3月17日放送)の終盤の場面。佐倉七瀬(上白石萌音、右)と天堂浬(佐藤健)は仲間に見守られながら結婚式を挙げる=TBS提供

 TBS系連続ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(火曜午後10時)が、3月17日の最終回で同ドラマ最高の15.4%(以下、視聴率は全てビデオリサーチ調べ、関東地区)という高視聴率を記録し、終了した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上には、最終回の放送中から「(胸が)キュンキュンした」「続編希望」といった、女性の書き込みがあふれかえった。かつてのトレンディードラマ全盛期の後、恋愛ドラマはもう当たらないなどと言われ、刑事ドラマや、病院などを舞台にしたお仕事ドラマが増える中、久しぶりのスマッシュヒットといえる。略称「恋つづ」はなぜここまで多くの女性の心を「キュンキュン」させたのだろう。女性の気持ちは女性に聞かないとわからない。若い頃、トレンディードラマにはまった50代のおっさん記者が、ドラマ事情に詳しいライターの田幸和歌子さんとその理由を考えてみた。(ドラマのネタばれになる情報も含んでいますので、未見の方は注意して楽しんでください)【佐々本浩材】

 「恋つづ」の基本設定はこうだ。ヒロインの佐倉七瀬(上白石萌音)は高校生の時に修学旅行で東京観光をしていて、初老の女性が路上で意識を失う現場に遭遇。たまたま通りかかった医師の天堂浬(かいり、佐藤健)が素早く応急処置をする姿に一目ぼれしてしまう。天堂に会いたい一心で看護師を目指した七瀬は、5年後、夢をかなえ、天堂がいる日浦総合病院で働き始める。

 第1話で七瀬は早速、天堂に5年越しの思いを告げるが、あっさり玉砕。天堂からは「誰だ、お前」「身の程を知れ、岩石(ちなみに「岩石」は仕事の流れをせきとめる新人ナースを指す言葉)」と言われる始末。天堂は人当たりがきつく、病院内では「魔王」と呼ばれる、ドSの医師だったのだ。七瀬は、そんな魔王に勇敢に立ち向かうことから、病院内で「勇者ちゃん」と呼ばれるようになる。そんな2人の恋の進展を描くのがこのドラマだ。

 最終回の視聴率15.4%は、NHKの連続テレビ小説や大河ドラマを除くと、3月で終了するドラマの中ではトップクラス。テレビ朝日系「相棒season18」は途中で16.7%を2度記録しているが、最終回の2時間スペシャル(3月18日放送)は13.8%とややダウン。ほぼトップ集団を走り続けたTBS系「テセウスの船」は第8話(3月8日放送)で番組最高の15.3%を記録したが、第9話(3月15日放送)は14.9%とややダウン。最終回は数字を伸ばすと予想されるが、22日の放送。「恋つづ」を上回るかはわからないが、2番組の接戦になるだろう。後で触れるが、後半になってからぐんぐんと数字を伸ばし、「テセウス」などに追いついたのも他のドラマには見られない特徴だ。

 そうした後半の盛り上がりはSNSからも分かる。最終回前から「恋つづロス」「天堂ロス」がつぶやかれ、「恋つづ最終回」「#恋つづありがとう」がツイッターでトレンド入りした。公式インスタグラムのフォロワー数は102万人を突破、公式ツイッターのフォロワー数はドラマ終了時で40万人に到達し、その後も増え続けているという。

 TBS系の恋愛ドラマで最近のヒットといえば、新垣結衣と星野源が共演した「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年10~12月、最高視聴率は最終回の20.8%)。無料の見逃し番組配信として、放送後1週間、ネット配信された「恋つづ」の再生回数は、最終回前の第9話(3月10日放送)で342万回を記録(TBS FREE、GYAO!、TVerの合計値、3月10~17日、TBS調べ)した。TBSの過去最高値だった「逃げ恥」の記録を上回ったという。

 1週間の見逃し配信が終わった後も、有料の番組配信「Paravi」では、本編ドラマのほか、ここでしか見られないオリジナルのミニドラマ「まだまだ恋はつづくよどこまでも」も配信しているため、最終回終了後から加入者が急増した。「恋つづロス」の女性たちがどっと押しかけた形だ。TVerによる最終回の見逃し配信は4月14日まで続く。ブルーレイやDVDは7月に発売される予定で、まだしばらく盛り上がりは続きそうだ。

 そこまで視聴者の気持ちを盛り上げた、「恋つづ」の胸キュンシーンとは、一体どんなものだったのか?

 ドラマは初回(1月14日放送)が9.9%とまずまずのスタートを切ったが、その後は10%前後を行ったり来たり。最近のドラマの状況だと、十分合格点といえるが、それほど大きな盛り上がりを見せていたわけではなかった。この時期はいわゆる「ツンデレ」もの。一方的に迫る七瀬に、病院内では「ツンツン」した対応のドSぶりを発揮していた天堂が、次第に七瀬の仕事ぶりに理解を示し、オフになると、多少「デレデレ」ぶりを見せ始める。

 第5話(2月11日放送)で、ケガをして救急車で搬送された七瀬に「乗り切ったら、願いを何でもかなえてやる」「彼氏になってやる」と告げた天堂。第6話(2月18日放送)では、主任ナースに七瀬の予定をあけてほしいと頼んだ天堂が、その理由を尋ねられ、「一緒に飯を食います」「俺の彼女だから」と公言するほど2人の仲は進んでいた。

 視聴率が伸び始めるのは、第7話(2月25日放送、11.9%)から。天堂のセリフや行動に「胸キュン」する要素がどんどん増えていき、「ツンデレ」ではなく、2人の関係はほとんど「デレデレ」気味になっていく。

 たとえば、第7話。天堂の元恋人の妹、若林みおり(蓮佛美沙子)が天堂に告白したことで、七瀬は自分が天堂と釣り合うのかと不安な気持ちになる。天堂に「やっぱり私と先生じゃ釣り合わない」と訴えると、天堂は「今さら、何言ってんだ。俺とお前が釣り合わないことなんて、100万年前から分かってるんだ」と言い放ち、さらに何か言おうとする七瀬にキスする。

 そんな2人を心配した周囲の配慮で、2人は遊園地でデートすることに。アイスクリームを食べていると、鼻にアイスを付けてしまう七瀬。「俺は取らないからな」といいながらも、天堂が優しく手で取ってやると、七瀬はわざと口の回りにアイスを付け、かわいく首を振り催促する。天堂はしばらく気付かぬふりをするが、すっとキスしてアイスを取ってやる。驚きながらもうれしい七瀬。書いていても恥ずかしくなるようなシーンの連続だが、恋の始まりを巧みな演出と、音楽で盛り上げる。

 そうした流れを決定づけたのが第8話(3月3日放送、12.1%)のエンディング。七瀬に好意を持つ入院患者、上条周志(清原翔)が2人の仲をやっかみ、天堂から暴力と精神的苦痛を受けたとして民事で訴えると言い始めたため、天堂を守ろうと七瀬は病院を辞め、1人で古里に帰る。地元の診療所で看護師として働く七瀬は、頼まれた買い物を済ませ、診療所に帰る途中、天堂の姉からスマホに電話がかかる。出ると、電話の主は天堂だった。

 「何考えてんだ、バカ。誰の電話にも出ない。この俺がかけても」。「だって、先生の声を聞いたら私……」と早口で返し、ちょっと涙ぐみそうになるのをこらえる七瀬。新しい病院でいかに楽しく働いているか説明し「もう心配しないでください」と話す。Official髭男dismの主題歌「I LOVE...」のイントロが流れ始め、これで続きは次回かなという場面で、七瀬は後ろからいきなりハグされる。もちろん現れたのは天堂。「勝手にいなくなるな。ずっと一緒にいると言っただろ」と耳元でささやく。

 これには、見ている女性陣の「キュンキュン」も最高潮に。第7話以降、視聴率は上昇し続け、無料の見逃し番組配信の再生回数もTBSの過去最高記録を毎回更新し続ける。

 田幸さんは「恋つづ」をどう見たのだろう。

 「甘すぎて、見続けてられないくらい、ベタベタに甘いですよね。最初はツンデレから入っていますが、次第に甘さの濃度がどんどん上がって。最終回は見ている側が照れちゃって、もうえげつないくらい(笑い)。でもそれが盛り上がるんだというのはちょっと意外でしたね」と驚きを持って受け止める。

 原作は円城寺マキの同名漫画。漫画は「心理描写がもっと丁寧だったり、ただの恋愛ものじゃなかったりする部分もある」という。

 「ドラマは原作よりもさらに『ベタ(ありきたり)』。ひたすら(天堂役の)佐藤健さんのかっこよさに焦点を当てた。それが非常にうまい。話がベタで、シンプルなため、『あっ、次にこういう展開が来る…

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佐々本浩材

1990年入社。大阪学芸部、メディア情報部などを経て、東京学芸部へ。演芸、放送分野を長く取材。

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