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米中のはざまで

日米安全保障条約は1960年1月19日の改定から60年が経過した。自国第一主義を掲げるトランプ米大統領が出現した米国。軍事・経済両面で急速に伸張する中国。両国の2極化が進む中、安保環境はどう変化しているのか。また、日本は両国とどう向き合い、どういう役割を果たせばいいのか。幅広い分野に焦点をあてながら、安保を巡る「いま」を探る。

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安保条約60年 第2部/1(その1) 米、対中「港湾リスト」 インド太平洋30カ所 日本に開発協力迫る

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中国主導のスリランカとの合弁企業が運営するハンバントタ港=港湾関係者提供
中国主導のスリランカとの合弁企業が運営するハンバントタ港=港湾関係者提供

 米トランプ政権が2019年秋、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」(BRI)に対抗するため、インド太平洋地域の主要な港湾へのインフラ整備支援を日米で協力して実施する構想を日本政府に提案していたことが判明した。太平洋やインド洋に面した港、約30カ所をリストアップし、開発支援を手分けして行う考えだ。日本政府も可能な支援策について検討を始めている。具体化すれば日中関係への影響や、財政面での負担など日本にとっての懸念材料も出てきそうだ。【「米中のはざまで」取材班】

 米国務省から日本の国土交通省や外務省にA4用紙2枚程度のリストが渡ったのは昨年11月。「戦略港湾イニシアチブ」構想というタイトルで、アジアを中心にアフリカや南米にまたがる地域の戦略的に重要な港湾などの名前を重要度別に二つに分けて記載。大規模インフラ開発計画が進む東ティモール南部のほか、すでに中国企業が運営を引き受けるパキスタンのグワダル港、スリランカのハンバントタ港なども挙げられていた。日本政府…

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