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社説

ペットの「多頭飼育崩壊」 福祉の視点から処方箋を

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 ペットの犬や猫が増えすぎ、飼い主が適切な世話をできなくなる「多頭飼育崩壊」が深刻化している。

 環境省は自治体向けのガイドラインの策定に動き出したが、飼い主を福祉の視点から支援する対策が欠かせない。

 環境省によると、2018年度に都道府県と政令市、中核市の125自治体に寄せられた市民の苦情は2149件に上った。

 近所への騒音や悪臭など生活環境の苦情をはじめ、動物虐待のおそれがあるという訴えが多かった。

 飼い主の事情は複雑だ。不妊・去勢手術をせず、ペットが増えすぎたのは、生活が困窮したことだけが原因とは限らない。

 家族との死別、失業や病気による生活の変化の影響もある。加えて、精神疾患や、高齢に伴う認知症が背景にあると指摘されている。

 だが、多頭飼育をめぐっては、メディアでこれまで「近所迷惑な住民」として取り上げられることが多く、飼い主への支援に関する報道は少なかった。

 飼い主は地域から孤立しているケースが少なくない。人間関係のトラブルを繰り返して信頼関係が損なわれ、近隣から苦情があっても改善しようとしない。人を避け、ペットだけに過剰な愛着を持つ人が多いといわれる。住居がいわゆる「ゴミ屋敷」になっている場合もある。

 参考になる先進例がある。川崎市は動物愛護や衛生環境の担当部署のほか、高齢者、精神障害者、生活保護受給者などに関わる福祉部門が連携し、対応している。

 例えば飼育環境の改善に向け飼い主と話し合ったり、ペットを引き取って別の飼い主を探したりする。

 こうした取り組みが望ましいが、自治体だけでは体制に限界がある。NPO法人や動物愛護のボランティア団体との連携が重要だ。

 多頭飼育崩壊は、基本的には個々の自治体が対策を講じるべき課題だ。だが、大きな社会問題になっている以上、国はガイドラインの策定だけでなく、法律などの整備も検討すべきだろう。

 動物の福祉と、人間の福祉の両面から取り組まなければ解決できない問題である。まず、行政の意識の転換が必要だ。

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