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俳句月評

いのちの危機=岩岡中正

 「俳句界」二月号特集「俳句と哲学」で千葉雅也は、哲学とは「価値観を疑うこと」であり、俳句にはもうひとつの価値観を発見して興がる「懐疑と機転」があるとする。私も同感で、俳句を含む「詩」には、こうした新しい価値観と未来を発見する力があるのだ。

 そこで問題は「今なぜ哲学か」「もうひとつの価値観か」だが、それはいうまでもなく、人間、欲望、進歩を至上とする近代以来の価値観が、たとえばわが国で東日本大震災や原発事故、さらに近くは新型コロナウイルスのパンデミックまで、人知の及ばぬ世界崩壊によって大きく揺らぎつつあって、俳句文学もこの価値変動と無縁ではない。

 ではこうした価値観の危機や大変動の中で、俳句は何を体現し何に貢献できるのか。高野ムツオ『鑑賞 季語の時空』(角川書店)は、この点で示唆的であって、これは単なる季語紹介ではない。「神は細部に宿る」というが、著者は、季語が出会いの一瞬を「永遠化する装置」だとして、季語に永遠の時間と意味をもたせる。さらに本書には、震災と原発事故以降の、自然への畏怖を忘れた私たちの近代的価値観への反省と危機感が貫かれて…

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