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政府の学校再開指針 方針転換も根拠が見えぬ

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 新型コロナウイルス対策で、文部科学省が一斉休校を続けてきた学校の再開に向けた指針を公表した。

 政府による全国一律の休校要請は打ち切られた。指針は、全国の学校が新学期から再開することを前提に作られており、感染防止対策を促す内容となっている。

 そもそも一斉休校は、安倍晋三首相の政治判断によって今月2日から始まった。専門家の意見には基づいておらず、一律の対応が必要な根拠は不明確なままだった。

 政府は、19日の専門家会議の報告を基に、再開の判断基準を示す方針だった。だが、会議では、再開への明確なゴーサインは出ていない。にもかかわらず、政府は「原則再開」へとかじを切った。

 萩生田光一文科相は記者会見で「国民の感染拡大防止への意識が高まっている」と説明した。しかし、根拠としては不十分だ。もともと一斉休校に根拠がなかったために、方針転換する理由も示しづらいのではないか。

 休校の長期化は市民生活に大きな影響を及ぼした。学習の遅れや、保護者が仕事を休めない子どもの居場所づくりなど、さまざまな課題が浮かんだ。こうした状況から、政府は軌道修正を迫られたのだろう。

 だが、都市部を中心に感染者が増え続けている。一斉休校が始まった当時と比べ、状況が良くなっているとは言い難い。

 子どもを本当に学校へ行かせて大丈夫なのかと、不安を募らせている保護者もいる。

 感染の拡大に直面している自治体は、まず新学期から学校を再開するかどうかの判断を迫られている。再開を認める根拠が不明瞭で、判断基準も示されなければ、迷うところも出てくるだろう。

 しかし、指針の内容は、換気の徹底など再開後の留意点を示すにとどまっており、再開判断の参考にはならない。

 指針は、学校で今後、感染者が出た場合の対応として、それぞれの地域の感染拡大の状況などを総合的に考慮し、休校の必要性を判断することも求めている。

 それも自治体任せでは混乱しかねない。政府は相談に応じる仕組みを整える必要がある。

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