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新型コロナが呼び覚ます「リーマン」の記憶 源流からたどる一族の壮大な叙事詩

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ナショナル・シアター・ライブ版の舞台「リーマン・トリロジー」 photo by (c) Mark Douet
ナショナル・シアター・ライブ版の舞台「リーマン・トリロジー」 photo by (c) Mark Douet

 新型コロナウイルスの影響による経済へのダメージを評して、「リーマン・ショック超え」の声も上がる。2008年9月15日、米大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻が引き金となって世界同時株安が起こった。いわゆるリーマン・ショックだ。約6000億ドル(約64兆円、当時)という米国史上最大規模の倒産だった。

 その「リーマン・ブラザーズ」の創業家一族の興亡の歴史を164年間、3代にわたる壮大な叙事詩として描く舞台作品が話題を呼んでいる。イタリアの劇作家ステファノ・マッシーニ原作の「リーマン・トリロジー(The Lehman Trilogy)」だ。2018年、英ナショナル・シアターで、ベン・パワー翻案による英語版がサム・メンデス演出で初演された。翌年の英ピカデリー劇場での上演版が、ナショナル・シアター・ライブとして日本のスクリーンで上映されている。

全221分、3部作の大河ドラマ

 トリロジー、すなわち3部作は、3人の俳優が女性や赤ん坊を含め、あらゆる役を演じている。上映時間は2回の休憩をはさんで221分という長尺だが、これが時間を忘れてしまうほど抜群に面白い。舞台作品としての完成度の高さは言うまでもなく、リーマン一家の波乱のドラマを通して浮かび上がる米国の社会経済史も興味深い。

 1844年9月、ユダヤ人の牛商人の息子ヘンリー・リーマン(サイモン・ラッセル・ビール)が、新しい生活を求め、…

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