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余録

思えばオリンピックとはものすごいイベントである…

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 思えばオリンピックとはものすごいイベントである。いや、ここでいうのは古代ギリシャのそれのことだ。紀元前8世紀から紀元4世紀までの実に1200年近くの間、4年ごとに293回も開催されてきた▲その間、聖なる休戦が破られて祭典の開催地で戦闘が起きたこともあったが、一度として中止されたことはなかった。ただ「延期」は、一度ある。紀元65年に開催されるはずの第211回の祭典が2年後の67年に繰り延べされたのだ▲延期させた張本人はローマ帝国の暴君ネロだった。ネロは自身が馬車競走などに出場、落車したのに審判に優勝と判定させるなど、まさに「自分ファースト」のオリンピックに仕立てたのだ。主催のギリシャ人には屈辱の歴史である▲まだ1世紀余の歴史しかない近代五輪は、戦争による中止を夏冬計5度も経験した。しかし、「延期」はこれが史上初という。東京五輪・パラリンピックを来年に繰り延べさせたのは、暴君よりたちの悪い新型コロナウイルスだった▲4年の周期に心身をささげたアスリートには気の毒である。1年延期の経済的・社会的負担は日本にも大きい。だが、ここは新型ウイルスの脅威を軽視せず、感染症から人命を守る闘いにおいてなすべきことが「ファースト」だろう▲振り返れば近代五輪・パラリンピックはグローバル化する文明を祝福する祭典である。その文明がもたらした感染症のパンデミックを制圧することなしには、どんな祝祭も似つかわしくない21世紀の人類だ。

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