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6年9カ月ぶり消えた「回復」の文字 世界同時不況の恐れ 3月の月例経済報告

閑散とするカジノ街=米ラスベガスで2020年3月18日、ロイター

 新型コロナウイルスの感染拡大による各国経済への影響が深刻化している。日本政府が26日発表した月例経済報告では、6年9カ月ぶりに景気判断から「回復」の文字が消えた。外出禁止や店舗閉鎖が拡大する米国では失業者が急増し、欧州もマイナス成長に転じる見通しになるなど、2008年のリーマン・ショック後以来の世界同時不況に陥る恐れが強まっている。【森有正、浅川大樹、ワシントン中井正裕、ロンドン横山三加子】

 「この状態が4月まで続くと、経営が持たない会社も出てくるだろう」。篠栗観光バス(福岡県)の石井孝敏社長は心配顔だ。同社では2月からツアー旅行のキャンセルが始まり、今月中で営業運転ができるのはわずか4日間にとどまりそうだという。

 訪日客の急減や外出自粛、イベント中止の影響が全国に広がっており、3月上旬の東海道新幹線の利用者は前年同期比56%減。宿泊施設の3月前半の稼働率も北海道や南関東、近畿、九州、沖縄で前年同期に比べ半分に低下した。堅調だったコンビニの販売も2月後半から前年実績を割り込んでいる。政府は3月の月例経済報告で、内需の柱である個人消費の判断を3年1カ月ぶりに下方修正した。

 製造業も苦しい。生産について月例報告は2カ月連続で「引き続き弱含んでいる」と指摘した。自動車産業は昨年から米中貿易摩擦の影響を受けていたが、2月ごろから中国からの部品調達が混乱。加えて欧米での感染拡大を受け、トヨタ自動車は「需要の世界的な減少が見込まれる」としてグループ会社を含む国内5工場で4月3日から数日間、稼働を停止すると発表した。梶山弘志経済産業相は「一時的な生産停止はこれからも出てくる可能性がある」と懸念を示す。

 景気回復を支えてきた雇用情勢も暗転し始めた。有効求人数は暫定的な集計で、2月は前年同月比12・4%減、3月は16・1%減と減少幅が拡大。月例報告によると、非正規従業員の自宅待機や派遣契約のキャンセルが増え、アルバイトやパートの平均時給はイベントや編集職などで1月から低下している。

 日本経済は12年12月以降、世界経済の拡大を背景に「戦後最長」とされる景気回復を続けてきた。賃金の上昇は限定的で「実感に乏しい」との声は根強いものの、好調な企業業績を背景に雇用も堅調で、欧州連合(EU)からの離脱派が勝利した英国民投票や米中貿易摩擦といったショックを乗り越えてきた。

 しかし、新型コロナの感染拡大に伴う経済活動への打撃は深刻だ。政府内では「景気が落ち込む角度は東日本大震災級、落ちる深さはリーマン級」(内閣府幹部)との見方が広がり、景気は「厳しい状況にある」との判断に追い込まれた。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「国内景気は消費税増税前の昨年9月ごろがピークで、その前後から景気後退局面に入っていたのではないか。今回の月例報告でそのことがより明確になった」と指摘する。東京都内の感染者急増を受け、都が26日、近隣県も含め外出自粛を要請するなど、経済への影響も一段の深刻化が避けられない情勢だ。【森有正、浅川大樹】

 新型コロナは、戦後最長の景気拡大を享受してきた米国にも深刻な影響を及ぼしている。外出制限や店舗の営業休止が全米に拡大した結果、失業者が急増しており、米労働省が発表する21日まで1週間の失業保険申請件数は100万件を大きく上回る見通しだ。2月まで50年ぶりの低水準にあった失業率の悪化は避けられず、金融大手のモルガン・スタンレーは20年4~6月期の経済成長率が30%のマイナスに落ち込むと予測。1930年代の大恐慌に匹敵する経済危機に陥るとの見方も出て…

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